How to Teach English Focusing on the Importance of Its Actual Use
(実際の使用を意識した英語教育)

68期 AI 類 K. S.

Introduction

 日本人は英語を学んできたにも関わらずうまく話すことができないと言われているが、英語の学習が授業だけで完結してしまうということが原因の一つであると考える。英語はテストや受験のためだけでなく、実際に使うためにするということを学校でも意識することができれば、英語をもっと意欲的に、効果的に学ぶことができるのではないかと考える。また、2020年から小学3・4年生では「外国語活動」、小学5・6年生では教科「外国語」として英語教育がはじまり、小学校英語教育への注目や期待が高まっている。そこでこの論文では、英語を実際の使用に結びつけるために、小学校で英語をどのように教えていけばいいのかということを論じていく。

Chapter I Important Things in Teaching English in Elementary School

 第一章では、小学校英語教育の役割について述べる。小学校英語教育の役割は、ただ単に中学校の前倒しとして言語習得を目指すことではないということを、子どもたちの意欲、学習指導要領、外国語習得における臨界期の三つの観点から述べた。小学校英語教育の役割は、英語を生涯かけて学んでいくことの動機づけや、コミュニケーション能力を培うことであり、中学校以降の英語学習への橋渡しを効果的に行うことが、子どもたちの将来的な英語使用に結びつくと結論づけた。

Chapter II Ideal input and output in Elementary School

 第二章では、第一章で論じた小学校で大切にすべきことを踏まえて、小学校の英語教育でどのようにインプットやアウトプットを行うことが理想的であるかを述べる。インプットに関しては、第一に英語のインプット量が少ないということを指摘し、インプット仮説に基づき、ICTやALTを利用しながら質、量ともに適したインプットを与えることが重要であるということを述べた。また、生きた教材や活動を取り入れることの有効性や難しさについて述べ、教師間の連携が欠かせないと結論づけた。アウトプットに関しては、子どもたちが伝えたいと思えるような内容に基づいて行わせることが効果的であるということがわかった。また、インプットとアウトプットをできるだけ細かく授業の中に組み込むことで、英語を習いながら使えるようにしていくことができると考えた。

Chapter III Roles of English Teachers in Elementary School

 第三章では、小学校英語教員がどのような役割を担い、子どもたちにどのような働きかけをしていくことが大切なのかを述べる。まず教員自身が楽しく進んで英語を使うことが大切である。日本人教師はネイティブスピーカーのようなモデルになることはできないが、外国語として英語を学んできたロールモデルになることはできる。教師は子どもたちと共に生涯をかけて言語を学んでいくという気持ちで、子どもたちの困り感を今の自分や過去の自分と重ね合わせながら解決していくことが大切であると結論づけた。また、内発的動機付けを促すために、日ごろから励ましあうことのできるクラスづくりを行うということも必要であるということがわかった。

Conclusion

 2020年から小学校英語教育が始まるが、それを単なる中学校の前倒しととらえるのではなく、英語に最初に触れる段階として、英語学習への動機付けとコミュニケーション能力の育成に特化した教育を行うことが有効である。できる限り生きた英語に触れさせ、英語は実際に言語として使用されているということを、子どもたちに身をもって伝えるべきである。子どもたちにとって伝えたいと思えるような内容や状況を設定し、それを伝えるためにどうすればいいのかということを中心に授業を組み立てることによって、英語はコミュニケーションをとるための道具であるということを知り、英語を学んでいきたいと思うようになる。そのための教師の役割は子どもたちのロールモデルとなり、子どもたちを励ましつづけることであり、言語面と内容面の双方で動機づけのできる授業を模索し続けることが求められる。