A Comparison of English Teaching Methods in Japan and the Netherlands
(日本とオランダにおける英語教育法の比較)

67期 AI 類 Y. M.

Introduction

 この卒業論文では、小学校における教師の効果的な指導法及びオランダの英語教育と比較し、日本の英語教育の現状と問題、その改善策について提案する。2020年から小学校では第5学年・第6学年の子どもたちに対して英語が「教科」として開始され、第3学年・第4学年では外国語活動として英語教育が開始される。また国際化が進む現在、中学校・高校における教師の指導力向上だけでなく小学校においても求められるが、ほとんどの教師が英語の教員免許を持っていない・指導経験が無い・指導に自信が無いなど教師への英語教育研修の充実も求められる。英語熟達国と言われるオランダの「脳活性化学習法(Brain Active Learning)」という脳の働きに着目した指導法を基に、日本での効果的な指導法や、教師に何が求められるかを考察していく。

Chapter 1 English Education in Japan

 一章では日本における英語教育に焦点を当て、英語教育における現状と課題、どのような指導法が効果的か分析する。第3学年・第4学年では「外国語活動」として英語が導入され、第5学年・第6学年では「教科」として英語が開始され、時間数も大きく増加する。教員の負担の増加に伴い、これまで以上に英語への時間配分が難しくなり、指導に自信が持てない教員の増加が予想される。その中で、教師は英語教育のチーム・ティーチング(複数の教員がチームを作り、生徒を複数のグループに分けながら行う授業形態)におけるHRTとしての役割を理解すると共に、ALTやJTEと役割を分けながら授業を行っていかなければならない。それと同時に教師への英語研修への充実を図り、HRT自身の指導力向上にも努めなければならない。効果的な指導法については、モジュール学習法、The Direct Methodなどの指導法に着目し、各指導法のメリット・デメリットを挙げながらそれぞれについて詳しく見ていく。

Chapter 2 Early English Education in the Netherlands

 二章ではオランダの公立小学校の特徴を示しながら、オランダで行われる「脳活性化学習法」という脳の働きに着目した指導法及びオランダの小学校と中学校の教育的つながりについて見ていく。「脳活性化学習法」については、以下の4つの特徴が挙げられる。

  1. 豊富なイラスト付き教材を用いて右脳を活性化
  2. 脳の前頭前野という部分の働きに着目し、大声で音読することで記憶力定着の向上
  3. 8歳になったら大声音読に加え早く読むトレーニング
  4. 5分間集中して課題に取り組む
上記の4つについてそれぞれ詳しく見ていく。小中学校における教育的つながりにおいては、日本と同じく初等教育における英語教育の必修化以来、中学校英語教育との連携問題が考えられる。オランダでは学習教材(教科書を含む)が国によって指定されておらず各学校が自由に来てることが出来るため、様々な初等教育用教科書が乱立・小中学校で授業交流の場がほとんど無い・中学校での授業を視野に入れた初等教育用教科書がない、授業がされない・中学校における教師が小学校で何を教えたか具体的に把握できていないということが問題視されている。

Conclusion

 英語教育が成功したと言われるオランダにも、小中学校の連携問題という日本と同様の問題も挙げられるが、オランダで行われる指導法から学ぶことが出来る点は多い。日本の小学校における英語教育では、オランダのように教師に求められる具体的な英語能力の達成基準が定められていないため、各教師がティーム・ティーチングにおけるHRTの役割を理解すると共に、HRT単体でも授業が行えるよう、教員向け英語教育研修への充実を図ることが必要である。