Linguistic Activities of the Target Forms and Their Effects
(学習対象における言語活動とその効果)

67期 AII 類 Y. N.

Introduction

 この卒業論文では、今まで提唱されてきた歴史的な英語教授法の利点と欠点、また中学生が「使える」英語を習得できるためのより良い教授法について考察し提案する。授業1時間は平均で45から50分であり、一時間の中で文法の学習・定着・活動までをしっかり行うのは難しい。しかし、コミュニケーション能力の育成という点から、活動から学ぶ授業にしていく必要がある。コミュニケーション能力の養成・文法規則の定着の二点を踏まえた授業について検討する。

Chapter 1 An Analysis of Teaching Methods in English

 現在、中学校における英語の教え方は教員・その学習者の姿勢によって異なる。私は数多く存在する教授法の中から9種類を選択し、それらの特徴・利点・欠点、またその教授法に関連した活動について考察を行う。

≪例:The Direct Method≫
 特徴:学習者の母語(日本語)ではなく、対象言語(英語)で授業が行われる。
     また、教材として物語文や会話文が用いられ、音声の習得が優先される。
 利点:正しい発音・イントネーションを聞いて習得することが出来る。
 欠点:説明がすべて英語でされるため、生徒の理解に時間がかかる可能性あり。
     母語と対象言語の比較をしないため、構造的な違いが軽視される。
 活動:教師の発音を模倣して生徒が発音する機会を多くとる。
≪具体例≫
 中学三年生:買い物をしてみよう ⇒ 買い物を通してコミュニケーションをする。
 各単元の終わり:学んだことを生かして、劇(short play)をおこなう。

どの教授法一つだけをもとに授業を行ったとしても、足りないところが生じてくる。そのため、一つの教授法を信じて授業案を組み立てていくのではなく、いくつかの教授法・生徒の興味関心を含めた授業づくりが求められる。

Chapter 2 Smooth Relation between Input and Output

 生徒の4技能が高められる授業を考える際、教員は考慮しなければいけない事が多くある。その中でも、重視するのはインプット・インテイク・アウトプットである。授業では教科書がベースとなるため、インプット・アウトプットに目が行きがちである。しかし意味を理解することなく、ただ授業を受けているだけでは、将来活用できる英語力は育たない。どれかに偏ることがないように授業を組み立て、生徒が「楽しい」と思いながら学習していけるようにしていく必要がある。

Chapter 3 The Best Way to Acquire "Usable English" for Junior High School Students

 授業を検討していく際、重要となってくることとして生徒に付けさせたい力は何か考えることである。私の場合、「使える英語」の育成を目標に挙げ、英語の四技能(読む・書く・聞く・話す)のそれぞれの観点から定義する。

【生徒に身に付けさせたい力・到達目標】
 読む:文脈や絵・写真から意味を推測できる
 書く:日ごろ感じていることを文字に起こすことが出来る
 聞く:普段の会話で相手が言っていることを理解することが出来る
 話す:自分の言いたいことを伝え、尋ねられたことに対して答えることが出来る

 また、この定義に基づいて中学生を対象とした授業案を2つ提案する。一つ目が多読を中心として読む・書く力の育成、2つ目がペア活動を通じての話す・聞く力の育成を目標としている。ここで提案する授業案を行う際は、その担当する生徒の興味・関心のあるものを用いながら進めていく必要がある。

Conclusion

 今回九つの教授法を扱ったが、どの教授法にも利点、欠点があり、自分の目指す授業のためにうまく組み合わせて、適切に使う必要がある。また、ただ楽しい授業を心掛けるのではなく、インプット、インテイク、アウトプットを、バランスよく含め、教えたい文法規則・コミュニケーションを合致させた、「使える英語」を習得できるよう手助けしていく必要がある。今後は、取り扱った以外の教授法について調べたり、今回作成した授業案を実際に試したりしていき、より良いものにしていきたい。