Suggestions for Making English Classes Communicative in Junior High School
(中学の英語授業を "communicative" にするには)

66期 AII 類 A. T.

Introduction

 私は中学の英語授業を "communicative" にする方法について学んだ。理由としては2017年の学習指導要領の目標の部分に生徒のコミュニケーション能力を向上させることが明記されているからである。そこで、現行の英語授業はどのようなものであるのか、コミュニケーション能力を向上させるためには何が必要であるかを観察と分析を通して研究するに至った。

Chapter 1 Definitions of Communicative Competence and Aspects of CommunicationI

 生徒のコミュニケーション能力を向上させることができる"communicative"な授業づくりを行うために、その根底にあるコミュニケーションについて言及した。Canale (1983)によるコミュニケーションの7つの定義の中から、中学英語の中で私が特に重要であると考えるペアワーク、グループワーク、即興性、適切な言語使用、All-Englishの授業に適した4つの定義を取り出した。

  1. コミュニケーションは社会的作用のためのひとつのかたちである。
  2. コミュニケーションは想像性と予測不能な部分を持つ。
  3. コミュニケーションは適切な言語使用の下に起こる。
  4. コミュニケーションを取る際には、必ず目的が存在する。

Chapter 2 Definitions for Communicative Class

 この章では第1章で取り上げたコミュニケーションを実際に生徒が授業中に実践することができるように4つの条件を設定した。

  1. たくさんのinput, intake, そして表現活動等のoutputがある
  2. 生徒が学んだこと、理解したことを表現できる
  3. 教師中心の授業の中にも、生徒中心の活動がある
  4. 教室は英語でコミュニケーションを取る場とする
ただし、上記の4つの条件だけでは "communicative" な授業づくりは不可能であるので、次の章では実際に授業見学を行い、教室全体の観察を行った。

Chapter 3 Current English Class in Japan

 この章では実際に英語の授業を観察し、その授業の分析を行った。観察する上で注意した点は、教師の言動、生徒からの反応、授業内容、授業形態、使用される機器、教具、観察する授業の目標である。実際に私はとある市町村のK小学校で行われた英語の授業と附属中学校で行った授業を対象に2章で設定した条件を基に観察・分析を行った。2つの授業を観察して気付いたことはAll-Englishの授業を行うには教師自身が出す指示等の英語は最小限にし、できる限りパワーポイント等の視覚教材を用いて指示を出すことである。また、コミュニケーション活動を行うためには文法事項の反復練習やパターンプラクティスが必要であった。

Chapter 4 My Plan for Communicative Class

 3章で観察・分析した授業に注意し、この章では現在進行形を題材にした "communicative" な授業の指導案を作成した。この授業では "What are you doing? Are you ~ing □? I'm ~ing □." のような確実に抑えておきたい表現についてはパワーポイントの視覚教材を用いて複数回、発音練習を行う。その後、現在進行形の表現を活動の中で使うことができるようなジェスチャーゲームを考案した。また、生徒がジェスチャーで表現する題材も生徒が外国の方に聞かれる可能性があり、生徒が英語では表現するのが難しいものを設定した。具体的には "drink/maccha, eat/umeboshi, make/sushi, use/soroban, make/onigiri" などである。この活動で英語で表現できないから諦めるのではなく、話す以外の方法で伝えようとする気持ちを養うことができると考えた。

Conclusion

 この論文では英語授業を "communicative" にする方法について議論した。さらに、現行の英語授業を見ることによって注意すべき点が明らかになった。具体的には、生徒が活動する前には例示をする、教師の英語による指示は最小限にして、視覚教材等で補う、コミュニケーション活動の前には音声の反復練習・パターンプラクティスを行うなどが挙げられる。また、注意すべき点は目標によって様々であるので、第一には授業目標を明確にすることが必要である。