Effective Communication Activities in Teaching English at Junior High School
(中学校英語教育における効果的なコミュニケーション活動について)

65期 AII 類 A. Y.

Introduction

 この論文の目的は、中学校での英語教育の中で生徒が取り組むコミュニケーション活動がどのようにすれば効果的なものになるのかを明らかにすることである。教育実習での授業の中で英語での活動を生徒たちに促したところ、彼らが日本語を話している声が聞こえ、ゲームをクリアすることだけに焦点を当ててしまっている姿も見られた。「この活動は生徒たちのコミュニケーション能力を高めることができる活動となっていない。活動の中に実際の生活の中で役立つ要素がない。」と考え、彼らにとってより効果的な活動を提供したいと考えるようになり、コミュニケーション活動を論文のテーマとした。生徒の英語でのコミュニケーション能力の向上につながる活動を作り上げる方法を考察していく。

Chapter I 

 第1章では、「コミュニケーションとは何か」という問いを基に、コミュニケーションそのものについて考察していく。様々なコミュニケーションの定義や語源をヒントとして、この論文でのコミュニケーションを「創造と理解の過程としての情報交換を通した情報共有」と定義づける。また、コミュニケーションが成り立つために必要な要素を以下の3つとする。

  1. 送り手と受け手の存在
  2. コミュニケーションの目的
  3. 創造と理解の2つの過程の成功

Chapter II 

 第2章では、コミュニケーション活動の本質や活動を効果的なものにするために必要な要素について述べる。学習者が実際に英語を使用して情報を伝えたり交換したりする活動がコミュニケーション活動であるのではないだろうか。生徒が英語の使用(読む・書く・話す・聞く)を通して学習を促進させるため、中学生が興味を引く内容を活動の中に含ませたり、ペアやグループで振り返りの時間を取ったり、活動の前に英語の表現を紹介したりといった工夫が必要である。また、生徒がコミュニケーションを取る必然性を活動の中に作り出すことが重要である。インフォメーションギャップを活用して、自分が知らない情報を相手から聞き出し、相手が知らない情報を伝えたいと思わせることや、問題解決型タスクを設定し、実際の学校生活の中で起こっている問題を解決していくなど生徒にとって身近かつ必要な内容をタスクとすることが効果的ではないだろうか。

Chapter III

 第3章では、第1、2章で明らかとなった事柄を基に、オリジナルの二つの指導案を作成する。一つ目の活動では、学習者を中学1年生に設定した。時間割表の空欄となっている部分をペアで質問し合い、補う活動である。生徒にとって身近な時間割をテーマとして設定し、学期はじめにこの活動を入れることで、情報を得る必然性を作り出す。英語を学習し始めてあまり時間が経っていない1年生が学習者なので、教科の名前を表す英単語を復習したり、英語での質問の仕方や答え方をペアで考えたりしてから活動に移ることで活発なやり取りを促す。二つ目は、中学校3年生向けの活動である。生徒はクラスで起こっている問題を一つ選び、解決法についてグループで話す。まず日本語で自分の意見を書かせることで考えをまとめさせ、それを英語に訳すことで日本語から英語への変換を練習させる。意見交換のあとに班員との振り返りの時間をとることで、自分の英語の表現について反省し、改善することができる。また、改善したものを試す機会も与える。

Conclusion

 コミュニケーションは「創造と理解の過程としての情報交換を通した情報共有」であり、そのようなコミュニケーションを生徒に体験させることができるような効果的な活動には、学習者が実際に英語を使用して情報を伝えたり交換したりする必然性を作り出すことが必要である。この論文は自分が教師として中学校の英語の授業を行う際に役立つものとなるはずである。