The Importance of Code-Switching in Teaching English
(英語を教える際のコード・スウィッチングの重要性)

65期 AII 類 H. S.

Introduction

 現在教育的機能は注目されつつあり、英語教師は授業で英語を喋る必要性がでてきている。英語を喋ることで生徒の英語を勉強しようとする動機にも大きく影響を及ぼしうるだろう。そこで私は英語教師が英語を喋れば生徒がより英語を学ぶことができるのかと疑問が生じた。そこでコード・スウィッチングをとりあげる。コード・スウィッチングとは2言語併用の話し手の会話の中での言語の変換のことをさし、1つの会話の中でどちらか1つを用い、必ずとも1つの言語のみを選ぶことはない。言語使用は話し手の相手と discussion topic により、他にも語彙不足を補うためや、強調のためにも用いられる。今回の卒論では、授業中に教師が生徒の第1言語と目標言語をどのように使用するのかという意味で用いることにする。

Chapter I Teaching Method as Language Use

 Chapter 1 では The Direct Method と The Grammar-Translation Method の二つの教授法に焦点を当てた。それぞれは目標言語を教える際の言語使用の点で異なる。前者は目標言語を用い、後者は生徒の第1言語で話される。また、それぞれの特徴からとしては前者は翻訳を介さず、また、でモンストレーションや視覚教材などを使って第一言語に頼らずに、意味が直接伝えられることからその名がつけられた。一方後者は20世紀始めに外国語文学を生徒が学んだり評価したりするのを手助けする目的で使われた。これは目標言語を勉強し、生徒がより母語の文法に親しみをもったり親しみを持って母語をよりうまく話したり書いたりするのに役立つとされている。そしてそれぞれにはメリットとデメリットが存在する。
 まず The Direct Method から。金谷は直接効果と間接効果と言う言葉を用いてそのメリットについて説明している。彼によればもし教師が The Direct Method を用いれば生徒の英語の能力が上がる(直接効果)というよりも、英語を話す教師の態度が、生徒をより英語を学ぼうと意欲づける(間接効果)という。また、生徒に英語を話させることにより、英語に親しみを持たせることができるといいます。また、翻訳作業を介さないので英語の思考が育つが、翻訳作業を介さないので、生徒の翻訳・通訳の能力は育たないのでデメリットにもなる。
 次にデメリットとして、教師は普段よりも英語をゆっくりと話す。次に話の文脈について考えるために多く、もしくは頻繁に休止を取る。発音が誇張されたり単純化される。基礎的な単語の使用。言ったことを繰り返す。これらは生徒が授業の文脈を理解させるために調整されたという意味ではプラスのことだが、ネイティブスピーカーの話し言葉ではないのでデメリットとして捕らえた。
 次に The Grammar-Translation Method について。菅原は生徒の能力を超えている英語についてはテキストの内容について絶対に理解できず、この場合は生徒の第1言語を使用する必要があると述べている。また、教師の負担が和らぎ、集団学習にもむいている。一方で学習が演繹的なために生徒が退屈してしまったり、翻訳作業に重点を置くために、生徒は第1言語に神経質になり、第1言語のみを頼りにしてしまうために、英語脳が育たないという。
 メリットとデメリットが存在するためにどちらか一方のみを選ぶというのはとても難しいことだが、英語教師はでたらめに英語を使っていいというわけでもなく、第1言語のみを使っていいというわけではないので、教師は慎重に話す言葉を選ぶ必要がある。

Chapter II Comparison with Explicit and Implicit Knowledge

 第二章では明示的知識と暗示的知識の比較をしている。明示的知識とは簡単に言えば分析的に規則を説明できることで、暗示的知識は、説明はできないが感覚的、直感的にわかることである。明示的知識については年齢に関係なく得ることができるが、暗示的知識の場合はある年齢を超えると習得するのが難しくなる。これらを文法において不確定な文"Lives my aunt."*で例えると、もし学習者が"My aunt lives."と文法に基づいて正しく語順を並び替えることができたのならそれは明示的知識に基づいており、直感的に直せたのならそれは暗示的知識についてである。それぞれの知識は独立しており、互いに作用しあわないという学習者もいれば互いに影響を及ぼしあうという学習者もいる。つまり意識的に手にいれば暗示的知識を学習者が無意識的に使い、自動化された明示的知識は暗示的知識と同様の物となるということで、今回の卒論はそれが成り立つとして進めている。
 ここでひとつの実験について焦点を当てた。ここでは英語の文法の誤りのある文を読み、間違いを直しその正しい文法規則を説明するといったものだ。全部で12の文法項目があり、日本人学習者は訂正の平均が8,47個、規則提示の平均が7,41個と統計的にも有意な差が出た。これは日本人も暗示的知識を習得していることを示す。また、ここでは間違った文法箇所に下線が引かれたヒントあり課題と、下線なしのヒントなし課題があり、それによっても差がみられた。正答率が低い項目についてはThe Direct Methodを用いての授業は難しいと考えられ、またヒントを与えれば正答率が挙がる項目などについては比較的早い段階でThe Direct Methodを用いた授業を展開しても良いと考えられる。

Chapter III The Effective Grammatical Instruction for Junior High School Students

 第3章ではこれまでのこととコーパスを用いた文法指導を行う際の授業について考えた。コーパスはオックスフォードによれば次のように定義されている。"Corpus is a collection of written texts, especially the entire works of a particular author or a body of writing on a particular subject." Gassが行った実験では、明示的学習はどの文法分野においても高い学習効果を残し、めた無図解し文法においても優秀であった。また文法規則を明示的に学習した後、その文法に関する例文を学習することがより優れていることもわかった。この例文の部分を授業でコーパスを用いて反復練習する。

Conclusion

 この卒論において大切とされていることが3つある。教師の話す言語、明示的知識が暗示的知識に変わるということ、そして教授法である。教師は慎重に話す言語を決めなければならないし、また、明示的知識が高い割合で習得される項目については暗示的知識へと内在化していくと期待でき、そして文法については明示的に指導すべきだとわかった。
 最後に、生徒に退屈、単調と感じさせないためにも、教師は適切な活動を取り入れ、弛まぬ努力をし続けなければならないと感じた。