Effective Ways of Teaching English according to Learners' Developmental Stages
(学習者の発達段階に応じた効果的な英語指導法)

65期 AI 類 K. F.

Introduction

 この卒業論文の目的は,日本の小学生への効果的な英語指導法を提案することである。
 現在,小学校では「外国語活動」の時間で第5学年と第6学年の子どもたちに対して英語教育が行われている。さらに2020年からは,今日のグローバル化に対抗して,教科としての英語が導入され,「外国語活動」を学ぶ学年は第3学年に引き下げると発表された。英語学習時期を早めることについては賛成意見や反対意見のどちらも挙げられているが,文部科学省は早期英語教育を推進していく方針である。
 現在の小学校英語教育で,低学年の子どもと高学年の子どもを同じような方法で教えることを問題視する意見がある。また,小学校ではアルファベットにあまり重点が置かれていないことは,小学校と中学校の英語教育連携がうまくいっていないことにつながるのではないかということも言われている。私は,子どもの発達段階の特徴に関心があるので,それぞれの段階にあった英語指導法を考える。また,早くから早期英語教育を実践しているアジアの国の状況と日本の状況を比較していく。

Chapter I

 1章では,日本の早期英語教育と中国や韓国の早期英語教育について考察する。これらの国を比較すると,日本の小学校では,音声中心の指導であるのに対して,中国や韓国では,小学校の段階で「聞く」「話す」活動に加えて「読む」「書く」活動にも取り組んでいることが分かる。また,授業時間数や学習する単語量は中国や韓国の方が多く,必修で英語学習を始める学年は,日本が第5学年からであるのに対し,2国では第3学年からであるなど,中国や韓国の早期英語教育が日本よりも進んでいることが分かる。
 文部科学省が中学1年生を対象にしたアンケートからは,子どもたちが「外国語活動」の時間で,「読む」「書く」ことに関して満足していないことが明らかになり,音声中心で行われている現在の小学校英語教育の課題と考えることができる。

Chapter II

 2章では,小学生の発達段階やその特徴について考察する。小学生(6〜12歳)の子どもは,ピアジェの発達段階では,具体的操作期にあたる。しかし,同じ発達段階であっても子どもは常に発達を続けているので,それぞれの学年についてさらに詳しく見ていく必要があると考える。
 子どもの発達段階を考える時に,9歳が大きな節目であると言われることがある。それは,9歳あたりの子どもは,具体的・本能的な思考をする右脳を主に使っていた段階から,抽象的・論理的な思考をする左脳を使う段階へと移行するからである。9歳前の子どもは,間違いを恐れず,歌やダンスを楽しんだり,英語の発音をためらわずにしたりするが,9歳を過ぎると,人前で発言することや表現することに抵抗を感じ始める。また,徐々に論理的思考を行うことができるので,機械的な繰り返しの活動や歌,ゲームだけでは満足せず,知的好奇心を求めるようになる。
 このような子どもの発達段階における特徴を考慮しなければ,子どもは英語学習に対して関心を失ってしまう可能性がある。2章の後半では,子どもの興味を引きつけるための具体例として,英語歌,早口言葉,言語活動,読み聞かせなどを紹介する。

Chapter III

 3章では,これから日本の早期英語教育はますます進んでいくことを考慮し,2つの提案を挙げる。1つは,小学生の全学年に教科としての英語を取り入れることである。そして2つ目は,第3学年からアルファベットを導入し,同時にフォニックスも取り入れることである。
 教科としての英語を小学生の全学年に導入すれば,英語を学ぶ機会を子どもたち全員に平等に与えることができ,彼らは今よりも英語に慣れ親しむことになるであろう。また,目標を設定することで,英語の授業はより質の高いものになる。
 アルファベットの導入を第3学年から始めるのが良いと考えたのは,この学年でローマ字を習うことになっているからである。彼らは,ローマ字を使用する際にアルファベットを習得する。アルファベットに触れる第3学年のうちに,英語の文字と音の関係を知るためのフォニックスを習わなければ,後に英単語を学ぶ際に英語と日本語の違いに戸惑ってしまうかもしれない。したがって,ローマ字を習い始める学年にフォニックスも導入するのが良いのではないかと考える。

Conclusion

 私の理想とする英語教育は次の通りである。まず,低学年は音声中心の活動を行うべきである。子どもたちは,音声中心の活動を簡単にすることができる上に,英語の音声に慣れることは,後のフォニックス学習の準備になる。この学年の子どもたちは,まだアルファベットを学習していないので,英語の授業が楽しいと感じられるようにすることが大切である。そして子どもたちがローマ字を習い始める時.英語の文字と音の関係を知るためにフォニックスも同時に導入すべきである。彼らは次第に文字に慣れていくだろう。高学年は,英語の4技能である「聞く」「話す」「読む」「書く」をバランスよく学習していくべきである。また,彼らの知的好奇心を刺激するような活動を取り入れる。