A Study of English Education in Taiwan
(台湾の英語教育)

64期 AII 類 M. M.

Introduction

 この論文の目的は台湾における英語教育の成果を調査することである。台湾は日本と同じく英語教育に高い関心をもつ国のひとつである。しかしその一方で、台湾は英語教育における地域格差の問題や、保護者から子どもへの高すぎる英語教育熱の問題など、英語教育に関する社会問題を抱える一面をもつ。この論文では、台湾の英語教育に関する実例をいくつか取り上げ、台湾の英語教育の実態がどのようなものであるかを考察していく。

Chapter I Educational Policy of English Education in Taiwan

 台湾は2001年より国民小中学校九年一貫カリキュラムを採用している。このカリキュラムは小学校及び中学校を一貫した教育課程であり、この教育課程によると、英語の授業は小学三年生からの導入が義務付けられている。国民小中学校九年一貫カリキュラムにおける英語科の主な目的は、生徒に自然で楽しい学習環境を提供し、英語の学習意欲を高め、生徒の英語の基礎能力を向上させることである。また、このカリキュラムにおいて最も重要なことは、英語を学習する上で生徒に過度な期待やストレスをかけず、日常生活で英語を使う機会を増やすことである。

Chapter II The Level of English Ability of Taiwanese

 第二章では、台湾で主流な英語のテストであるTOEIC(Test of English for International Communication)とGEPT(General English Proficiency Test)のテスト結果をもとに台湾人の英語力を分析していく。またこの章の後半では、台湾の幼稚園から大学までの英語教育の実施状況に焦点を当てて紹介していく。

Chapter III My Field Study in Taiwan

 第三章では筆者の台湾での留学を通して分かったことについて述べる。高雄師範大学附属中学校での英語の授業の見学で気づいたことや、台湾で主に使われている英語の教材、また、英語と中国語の文型比較について紹介をする。

Chapter IV The Differences of Policy Regarding the English Education in Japan and Taiwan

 第四章では台湾と日本の英語教育に関する方針の違いについて述べる。台湾では小学校の英語教育の導入が三年生からとなっており、日本と比べて英語教育が早期化している。このことから台湾は日本より英語教育に関して少し発展していると言えるが、台湾と日本で2013年と2015年に行われたTOEICのテスト結果の比較より、両者の点数差が狭まってきていることが分かった。台湾人のTOEICの点数の低下の背景には、日本人と台湾人の英語学習に対する意識の違いや、台湾人の親が子どもにかける英語教育の過度な負担、台湾での英語教育の地域格差の問題など三つの要因がひそんでいるものとし、それぞれの要因について分析していく。

Conclusion

 この論文を通して、台湾の英語教育は日本の英語教育より発展していると言えるが、日本人と台湾人の英語能力は同程度にとどまっていることが分かった。台湾と違い、日本では大学生がTOEICの点数取得のため英語学習に励んだり、企業においても企業側が社員に英語学習の機会を設けている傾向が強い。このことから日本社会において英語を学習する意識は台湾よりも高いと考えた。2020年から日本でも小学三年生から英語の授業が導入されるが、日本政府は台湾の事例を踏まえ、英語教育において地域格差を生み出さないようにこれから努力していく必要がある。