How to Motivate Students in Teaching Reading in English Classes
(英語授業におけるリーディング指導での動機づけの方法について)

63期 AII 類 S. I.

Introduction

 こどもの学習を考える上で、やる気(動機づけ)を高めることは重要な要素であり、事実、こどもの動機づけを高める研究は数多く存在する。では、具体的に授業をするときに、どのような方法でこどもたちの動機づけを高めればよいのだろうか?この論文では、筆者が比較的こどもが受け身になってしまいがちだと感じたリーディング活動において、実際の学校の英語授業でこども、特に中学生の動機づけをどのように高めることができるのか、より実践的な理論や方法を検証する。

Chapter I The Definition of Motivation and the Framework

 第1章では、動機づけとは何かを定義して、どのような理論を取り入れるのがより実践的な動機づけ実践につながるのかを考える。大学生を対象にした動機づけ変化の研究資料から、高い動機づけを維持するためには動機を高める要因が複数あるのが望ましいことが分かった。そのため、授業においては「テストの点をとるための学習など邪道である」など動機を否定することなく、多様な動機を与えるようなアプローチをしていくことが重要だろう。そこで、この論文では、動機づけの定義を「動機」「動機づけ」「動機づける」という3つに分けて定め、多角的に動機づけ理論を考えることとする。
 また、より実践的に動機づけの理論を授業に取り込むために、様々な方法論を一本の線で統合する理論を探し、その中で発見したこどもの動機づけを時間軸でとらえ、「時間と共に変化するので授業では段階的にこどもを動機づけることが重要」と唱える理論を採用した。この理論に基づき、授業を以下の

  1. Creating the basic motivational conditions
  2. Generating initial motivation
  3. Maintaining and protecting motivation
  4. Encouraging positive retrospective self-evaluation
という循環する4つのステップに分け、それぞれ「言語」「学習者」「学習状況」の3つの観点で、次章から多角的に検討していくこととする。

Chapter II The Components of Suggestive Reading

 この章では前章の区分に基づき、それぞれのステップ、観点でどのような動機づけの理論や方法を実際の指導で使っていけばよいのか検討する。

1. Creating the basic motivational conditions
 ここでは「こどもが学ぶ下地づくり」が非常に重要となる。教員が熱意を持ち、適切な規範の中でこどもに対して適切な声掛けを行うだけでなく、こどもたちの調整者となって自分たちでよく考えさせる環境を作っていくことが非常に重要である。

2. Generating initial motivation
 ことリーディング活動については、教科書がかなりこどもたちに広く、親しみやすい内容を用意している。そこで私たちがしていくべきことは、その内容をよりこどもたちに近しいものにするアプローチに加え、なぜその活動をするのかという目標志向性をしっかりとこどもに示すことが重要となる。

3. Maintaining and protecting motivation
 リーディング活動に焦点をあてた授業は、それ自体が通常のカリキュラムとは異なるものであり、こどもの関心を引きやすい。そのため、いつもとは違った授業の形態や方法を実行する大きな機会となる。また、授業の最中に刻々とやることが変わる中、こどもたちが「今そのとき」何を、何のためにしているのかということを細かく、定期的に伝えていくことが重要である。

4. Encouraging positive retrospective self-evaluation
 ここで最も重要なのは、こどもの努力帰属を高める、つまり自分のやった成果はその成否によってではなく自分の努力で決まるという意識を強めることである。そのために、教員がこどもの頑張りを発見してその場で即時の努力フィードバックを行うこと、仲間や教員の評価も参考にすること、そしてそれらのための評価シートを作ることが効果的であると思われる。

Chapter III

 この章では、ここまで検討してきた理論や方法を統合し、一つのリーディング活動を中心とした授業を提案する。前向きな積極さと協力的な空気を持ったクラスを想定し、「国際コミュニケーションとしての英語」という教科書のリーディング教材を用いて「読むことによってもたらされる情報」を元に自分は英語をどのように使っていくのかをクラスメイト同士で議論していく。ここでは「事実発問」「推論発問」「評価発問」と教科書に書いてあることから自分で考えるもの、自分の意見を聞くものと質の違う発問を段階的に行っていく。授業の最後には自分の評価、仲間の評価、教師の評価を参照できるよう評価シートを記入し、自分のできたこと、挑戦したことを振り返る。この授業では英語での発表を奨励するが、そのために授業時間が読めないこと、議論するこどもたちの評価が難しいという課題が残る。

Conclusion

 実際に動機づけの理論、方法を考えていく中で気づいたのは、動機づけるという活動において肝要なのは方法論というよりも寧ろそれを運営するための下地である環境がどれだけクラスに浸透しているのかということだった。また、動機づけ理論の実践は所謂通常の授業の延長線上にあることを、どれだけ意識して、継続的に行えるのということが動機づけでの観点では非常に重要である。。