How to Teach English Grammar to Japanese Junior High School Students through PPP or TBLT
(PPPやTBLTで日本の中学生に英文法を教える方法)

64期 AII 類 M. I.

Introduction

 2012年度より新たに施行される学習指導要領には、「文法については、コミュニケーションを支えるものであることを踏まえ、言語活動と効果的に関連付けて指導すること」という文言が新たに記載された。教師は、生徒が英語を使えるように授業を計画していかなければならない。生徒が英語を習得するためには、文法指導は不可欠である。しかし、教師が文法指導に重点を置いた授業を行ったとしても、生徒のコミュニケーション能力を育成することはできない。この論文では、文法指導の重要性を確認しながら、PPPとTBLTの2つの教授法を比較し、生徒に英語の4技能(読む、聞く、書く、話す)を身に着けさせる方法について考察していく。

Chapter I The Present Situation of the Traditional PPP Approach

 この章では、日本で従来から行われてきたPPPの指導手順や指導上の留意点及びPPPの長所や短所について考察する。文法指導において、新出文法事項の形式・意味・使用を生徒に理解させることは、生徒が英語の4技能を身につける上で重要であることが判明した。PPPの長所は、日本の学習環境にあっていることである。日本の英語の入試問題は、長文読解や英作文を中心に出題されており、このような問題を解くには、文法力が重宝する。また、1クラス35人前後いる教室で一斉指導する場合、教師が文法説明を行い、生徒に練習させることにより、英語を使ってコミュニケーションすることに対する不安を軽減することができる。しかし、その反面、コミュニケーション活動前に文法指導をすることにより、生徒が新出文法事項を意識し過剰にその表現を使ってしまい、生徒が自由に英語を使いコミュニケーションを行う機会を奪ってしまうという問題があることが分かった。さらに、従来のPPPでは、英語のインプット量が少ないという問題も明らかになった。

Chapter II Studies of Tasks and TBLT

この章では、タスクの定義とTBLTの特徴について言及する。TBLTでは、教師は活動前に文法指導を行わず、生徒に英語で言いたいことが言えなかったことに気づかせ、文法を学びたいと生徒に感じさせてから、文法指導を行う教授法である。TBLTは生徒に文法を学ぶことの重要性を体験的に理解させる上で、効果的である。また、PPPと違い、文法説明を活動前に行わないので、自由に英語を使いコミュニケーションする機会を生徒に与えることにより、本物のコミュニケーション能力を育成することができる長所がある。しかし、TBLTでは、活動前に文法指導を行わないので、母語を使いタスク活動をする生徒も出てくる問題点がある。

Chapter III The Revised Plan of the PPP Approach and TBLT

 第3章では、中学生に比較表現を教えることを想定し、第1章や第2章で明らかになったPPPやTBLTの問題点を改善した指導案を、PPPバージョンとTBLTバージョンの2つ作成する。伝統的PPP教授法の問題点は、教師が日本語で文法説明を行うので、生徒が英語に触れる機会が少ないという点である。その問題を解決するために、オーラルイントロダクションやオーラルインタラクションを取り入れるのが重要であることが分かった。また、生徒が自由に英語を使う機会を設けるために活動の段階でタスクを取り入れる授業案を提案した。TBLTでは、プレタスクの段階でタスクサイクルにつながる活動を行い、タスクサイクルの前に文法指導を行う指導法を考案した。

Conclusion

 PPPとTBLTの指導法を比較することで、日本のようなEFLの環境では、文法指導が重要であることが判明した。日本では、教室の外で英語に触れる機会がほとんどないので、TBLTのように、生徒にいきなり活動を行わせる教授法を中心に行うのは厳しい現状があると考える。したがって、普段はPPPをメインで行い、生徒が自由に英語を使えるように、時折、TBLTで授業を行う方法が、日本の学習環境では最善であるというのが、私の出した結論である。