EFL Learners' Anxiety about Speaking and Identity
(EFL学習者のスピーキングにおける不安とアイデンティティ)

64期 AII 類 K. N.

Introduction

 Introductionでは、なぜこの論文ではスピーキングの不安について焦点を当てているのかを中心に扱う。外国語を習得する過程では、多くの学習者は不安を感じる。外国語習得を技能別に分けると、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能に分けられる。その中でも、スピーキングが一番不安を引き起こしやすい。この論文では、スピーキングの特性が話者のアイデンティティとどのように結びつき、不安を引き起こすのかということを考える。

Chapter I

 第一章では、一般的な不安と第二言語不安について述べる。それぞれの不安の定義に触れ、第二言語不安が話者にどのような影響を与えるのか、またその不安の原因にはどのようなものがあるのかについての研究者の分析をまとめる。それらをもとに、話者のアイデンティティの問題によって感じる不安を分析する。

Chapter II

 第二章では、話すという行為が話者のアイデンティティにどのように結びつき、不安を引き起こすのかについて述べる。話すことと自己との間には強い結びつきがある。母語では、自分が持っているアイデンティティそのものを表現することができるが、目標言語では、学習者が十分なスキルを習得していない場合、本来の自分のアイデンティティは完全に表現することができず、不完全な自分となる。目標言語を話すときには、理想のアイデンティティを持つが、それが自分の表現する自己とは一致しない。このことが不安の原因になる。

Chapter III

 第三章では、話者のアイデンティティの問題によって引き起こされる不安をどのように軽減できるかについて述べる。一番大切なことは、話すこととアイデンティティがどのように結びついて不安を起こしているのかという仕組みを学習者自身が理解することだと考える。その他にも、教育現場に導入できる不安軽減のためのアクティビティをいくつか紹介している。

Conclusion

 EFL学習者は、目標言語を習得するときにはさまざまな不安を感じる。特にスピーキングにおいては、話すことと自己との結びつきによって、母語と同じように目標言語で自分を表現することは非常に難しいことである。外国語を話すときには母語のアイデンティティとは別のアイデンティティを創るが、その両者の差が不安を生むことになる。学習者は言語学習の際、特にスピーキングにおいて、自分のアイデンティティに何が起こっているのかということ理解し、自分が目標言語を使ってどんな風になりたいのかを考えることが、不安の軽減につながる。