Cooperative English Education between Elementary School and Junior High School
(英語教育における小学校と中学校の連携指導)

63期 AII 類 T. H.

Introduction

 2020年度までに今年度より始まった5・6年生に加えて、3・4年生まで外国語活動の実施を広げると文部科学省は公表している。しかし、多くの小学校教師は、これまで外国語を教えた経験があまりなかったり、学生時代英語教育を主に取り扱っていなかったりすることがある。教える教師の英語のレベルが定まっていないので、複数の小学校から生徒が集まる同地区の中学校では、生徒のレベルが異なったり、中学校の教師が小学校の外国語活動で何を扱っているのかを把握しきれていなかったりすることが多い。そこで、小学校と中学校の間で連携して外国語を取り扱う事が大切であると感じ、この論文題目を取り扱う事に決めた。

Chapter I

 この章では、文部科学省が公表している連携教育の定義と連携教育の現状とこれから広めていくうえでの問題点を提示した。定義に関しては、文部科学省は「小中連携は小・中学校がそれぞれ別々であるとの前提の下、教育目標やカリキュラムの共通部分について協同する取り組みである。」と述べており、教育目標や目指す子供像などを共に作り上げていく小中一貫教育とは異なり、部分的なものであることが分かる。そして、その現状はいくつかの小・中学校では連携教育が行われているが、多くの小・中学校の教師は小学校における外国語教育について不満が多く、連携教育を行ないたいと思っているのだが、きっかけがなかなか見つからなく、実行に移せていない状況が多い。そして連携教育の問題点は大きく分けて3つあると言える。1つ目は小・中学校が連携教育の取り組み方が分からないという事である。英語教育に関しては中学校の教師も小学校との前例があまり多くなかったので、どのように取り組み始めればいいのか分からないという事が多い。2つ目は公立学校では異動がある為、3年程度で各校の連携担当者が変わってしまう事である。連携教育担当者を各校が設けても数年に一度異動がある公立学校では担当者がどんどん変わってしまい、なかなか確立することが出来ない。最後に、中学校の教師の負担が大きいという事である。小学校の教師よりも中学校の英語の教師の方が英語教育に関しては知識が多いので、小学校教師の外国語活動に関する不安や疑問を解消する役割も持ち、その為に小学校の外国語活動の授業を見に行く必要もあるのである。また、中学校の教師は同地区にいくつも小学校があるという場合が多いので、何校とも連絡を取り合う必要もあるので、中学校教師の負担が小学校の教師よりも負担が多いと言える。このように連携教育を実施する上で、いくつかの問題点を持っている。

Chapter II

 この章では、小・中学校の先生方が連携教育や小学校の外国語活動についてどのように考えてらっしゃるかを調べる為に、三重県内の小学校50校、中学校38校を対象にアンケートを実施した。アンケートを実施して分かったこととして、大きく3つ挙げられる。1つ目に小学校教師は英語専科の教師が必要であると考えている。現在、ほとんどの小学校でクラス担任とALTが一緒に行っている。しかし、多くの小学校で理想としては英語専科教員とALTで授業行ないたいと考えており、外国語活動が小学校教師の負担の1つとなっていることが分かる。2つ目に小・中学校どちらも連携教育の必要性を感じており、小学校よりも中学校の方が必要だと考えている学校が多い。これは第1章でも論じたが、小学校の外国語活動の内容によっては中学校の英語で取り除くことが出来る事、指導を加えなければいけない事が生じてくる。だから、中学校の英語教師は小学校の外国語活動でどのような事を扱っているのかを知っておくべきだと考えている学校が多く見られた。3つ目に現在三重県内でも連携教育を行っている小・中学校もあり、手段も多種多様に存在している。連携教育の捉え方は異なっており、取り組んでいる学校でも連携教育の重要性の感じ方が異なっている事が分かった。

Chapter III

 この章では、どのように連携教育を行なえばいいか分からない小・中学校がどのような手順で連携教育を行えばいいのかというのを考察する。まず1つ目に定期的な小・中の連絡会を設ける事が挙げられる。お互いの英語教育の現状を把握し、どのような事でお互いが困っているのかを知る事で、どのように取り組むか具体的に考える事が出来ると言える。2つ目に小学校外国語活動の授業参観である。中学校の英語教師が実際に小学校の授業を見る事で、連絡会で挙げられた問題点・小学校教師自身が気付かなかった授業の問題点を明確にすることが出来ると言える。3つ目は連携教育についての小・中合同研修会を開くことである。連携教育について知識を持っている教師はあまりいない。そこで、大学の教授や実際にこれまで連携教育を行ったことがある教師に講演をしていただき、その知識を自分たちの地区でその知識をどのように活かせるかを考える事が大切である。最後に中学校教師が小学校の外国語活動の授業を行う事である。授業内容としては、実際に中学校でどのような授業をするのか中学校の英語の授業風景を児童に見せるのも良いが、中学生が英語の授業で学んだことの発表会を小学生児童の前で行うのも方法の一つであると考える。このようにいきなり授業を行うのではなく、しっかりと何が問題でどのような授業が必要か吟味することが大切だと考える。

Conclusion

 この論文を通して、小学校と中学校が英語教育における連携教育の現状とどのように実施すれば良いかを論じてきた。小学校の外国語活動の指導要領においてどのような事を教えるのかを学校に任せてしまっているのも問題であるが、小・中学校の両者が連携教育を必要だと考えているが、連携教育以外にも行わなければならない仕事は多くあり、忙しくてなかなか実行に移せないのが現状である。しかし、小学校での外国語活動が実施されて間もない今だからこそ、小学校と中学校の連携が必要ではないのだろうか。