English Communication Activities with ICT in Junior High School
(中学校におけるICTを用いた英語コミュニケーション活動)

63期 AII 類 T. K.

Introduction

 この論文ではICTの中からEメールに焦点を当てている。自分自身も大学生活の中でミシガン大学とのインターネットを介したビデオ会議に参加したり、留学生との交流を行ったりした。その経験から英語を実践的に活用する経験こそが中学校での英語教育にも効果的であるのではないかと思い、その手段として現在教育の現場である公立中学校にも導入が進んでいるICT機器に着目し、その中でもEメールが最も有効ではないか、と考え、この論文を執筆するに至った。

Chapter I

 第一章では、現在の日本社会の現状やそれに関わっての学習指導要領の変化から、今の中学校英語教育において実践的なコミュニケーション能力の育成が重要になっていることについて述べている。現在の社会は「知識基盤社会」と呼ばれ、経済・産業・政治など国家に関わる様々なものが海外の影響を受けるようになり、他国間との競争協力が不可欠となってきている。そういった中で英語は多くの国々で共通に話される「国際共通語」としての役割があり、この知識基盤社会において重要な言語の一つとなっていると言える。学習指導要領については、1989年では4技能に関わることを「正確に」身に着けることを重視しており、生徒が自分の考えを表現するようなことはあまり書かれていないが、上記の背景を踏まえ、2008年度では実践的なコミュニケーション活動など、自分の考えを英語で表現する、コミュニケーション能力の育成を重視するようになっている。

Chapter II

 第二章では現在の英語教育の現状を踏まえ、英語の堪能な外国人、特に海外の学校と連携するなどして交流活動を行う利点について考察している。日本人だけでの英語授業だけでなく、英語が堪能であり、また自身の文化についても堪能な外国人と英語で交流することで実践的なコミュニケーション能力の向上が期待できるのではないかと思われる。そういった外国人と英語で交流することは、決して流暢でなくとも「英語が通じた」という経験が得られ、それが生徒の自信やモチベーションを向上させることができる。また、異文化に堪能であり、異文化で生活している外国人との交流から、彼らの文化を直接的に知ることができる。加えて、英語に堪能な外国人からは様々な英語表現や豊富な語彙を知り学び取ることができる。こうした外国人の一例として、海外の学校と交流することがより効果的である。海外の学校、つまりその学校に通う生徒と日本の生徒で交流することができれば、複数の日本側の生徒に対し同じく複数の外国人が交流対象となるため、生徒一人一人が平等に交流することができる。また同年代の生徒同士で交流することができれば、お互いの生活環境も類似した点が多くなり、それぞれの身の回りの様子などを比較し、異文化などによる違いにも気づきやすい。

Chapter III

 第三章では、第二章での利点を踏まえ、実際に交流する手段としてEメールが効果的であることについて述べている。まずEメールのメリットとして、メッセージのやり取りに時間を要さず遠く離れた場所と交流することができる。お互いのメッセージを文面という形で保存できるので、お互いの都合のいいタイミングでメッセージを確認し送信することも出来るので、交流活動が時差に左右されることがない。2つ目に、Eメールを使えば文章という形で交流ができるので、生徒が相手のメッセージを聞き逃す、ということが無く、また相手のメッセージに難解な単語があったとしても辞書等で調べるなどの時間が取れる。生徒たちがメッセージを送る際も、どのようなメッセージを書くか、どのように英語で表現するか、じっくりと時間を掛けることができる。3つ目として、Eメールには文章だけでなく画像や音声などのデータを添付して送る機能があるものが多い。文章と共に画像を添付することによって、文章だけでは伝えづらい情報をやり取りすることができる。画像の中から思わぬ発見があり、更なるコミュニケーションにつながることもある。4つ目として、Eメールは現在の一般的な学校設備であれば問題なく使用でき、かつ操作方法に関しても特別な知識を要しないので授業に導入しやすいという点がある。