How to Teach English in English Effectively by Using GDM at JHS in Japan
(日本の中学校においてGDMを用いてどのように効果的に英語で英語を教えるか)

62期 AII 類 M. Y.

Introduction

 2013年に文科省が発表した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」において、2020年から中学校においても原則英語の授業を英語で行うことが求められることとなった。これまでの受験英語ではなく外国人とコミュニケーションをとるための英語が強調されており、実践的なコミュニケーション能力を育成することが目標とされている。そこで既に公立中学校で取り入れられているGDM (Graded Direct Method) という一つの教授法を取り上げ、いかに中学生に英語で英語を教えるのか考えていく。

Chapter I  What Graded Direct Method Is

 この章ではGDMの特徴、歴史、メリット、困難な点について述べている。GDMは段階的直接教授法と呼ばれ、直接教授法の一種である。その大きな特徴は、教える項目が厳密に段階づけられていることである。また、英語でも日本語でも文法事項の説明は一切行わず、文を特定の状況とともに導入する(SEN-SIT)。生徒は自ら文法の規則を発見することが求められるが、日本語を介さずに英文を理解できるようになるため、リスニングテストにおいてその効果が見られる。一方で、文法項目の順序が検定教科書と異なるので、教科書との兼ね合いが難しく、教師側の工夫が必要である。

Chapter II Practical Use of Graded Direct Method at Junior High School

 この章では、実際に公立中学校でGDMを用いた授業の観察結果を基に、授業がどのように展開していくのかを教師の働きかけや生徒の反応と共に述べている。授業中、教師も生徒もほとんど日本語を話すことはない。また、生徒は常に自分の立場から物事を捉え、英文にして表現することが出来ている。機械的なドリルが行われることはなく、生徒が自ら設定された状況に即した文を考えている。検定教科書を用いた授業では、一人称の現在時制しか教科書では扱っていないが、生徒達は既習である三人称や、過去、現在、未来時制を用いた文を用いて練習している。

Chapter III Analysis on Graded Direct Method

 この章では、2章で観察した中学校の1年生を対象に行ったアンケートの結果とGDMに関連する学習理論について述べている。アンケート結果より、多くの生徒が、「英語の授業は難しいが、楽しい」と感じていることが明らかとなった。自分で文法の規則を見つけなければいけないということが難しさであり、また、生徒達に達成感を与えるものでもある。日本語での説明がないことを不便に思う生徒もほとんどおらず、不便を感じている生徒のうち、成績の優秀な子が半分を占めている。
 GDMは帰納的学習、発見学習、螺旋型カリキュラムの3つの要素を兼ね備えていると考える。

Conclusion

 GDMはツールとしての英語を通してコミュニケーション能力を育成する文科省の方針に即した教授法であり、英語でのコミュニケーションを重視する時代の流れに合っている。しかしながら、GDMで教える教師が不足しているという現実があり、教師の育成が必要である。また、GDMが広く用いられるためには、十分な理解と学校教育の改革が必要である。