Proper Illustrative Sentences for English Education
(英語教育のための適切な例文)

63期 AII 類 S. Y.

Introduction

 塾講師のアルバイトの経験を通して、生徒は疑問詞、講師は受動態でそれぞれ間違いをしやすいことに気が付いた。生徒・教師の間違いをなくすため、適切な例文について考える。

Chapter I Wh-interrogative Sentences

   この章では、適切な疑問詞を用いた疑問文の例文について考える。疑問詞は、疑問限定詞・疑問副詞疑問代名詞に分類される。疑問詞のある文は極めて有標な文であるから、無標の文を先に示して指導するとわかりやすい。疑問限定詞・疑問副詞を用いる疑問文は無標である平叙文、やや有標であるyes-no疑問文を示した後に指導するのが良い。疑問代名詞、特に主語の役割を担うものは、無標の平叙文、疑問代名詞を用いる疑問文の順に指導するのが効果的だろう。以上の点に着目して、教科書の例文の検証も行った。

Chapter II Passive Sentences

  この章では、適切な受動態の文について考える。受動態の文には、3つの問題点がある。第一の問題は、情報構造にある。一般に英語の文は、文頭が旧情報、文末が新情報となる。固有名詞や指示冠詞の付いた名詞は旧情報にも新情報にもなり得る。一方、定冠詞や人称代名詞は旧情報のみ、不定冠詞は新情報のみの指標である。加えて受動態の文においては、動作主を表すbyの後に続く語句は新情報となる。動作主を表すbyの付いた受動態の文を例文として提示する際には、これらの規則に従う必要がある。第二の問題は、主語の性格付けにある。受動態の文は、主語を性格付けるものでなくてはならない。そのため、映画・小説・言語など影響力の大きいものを受動態の文の主語にする場合は、十分に注意を払わなければならない。第三の問題は、視点である。受動態の文の話者は、主語寄りの視点を持つ。この章においても、以上3つの問題点を踏まえて、教科書の例文の検証を行った。

Conclusion

 生徒の間違いは、有標度の高い文に多い。そのため、有標度の低い例文を先に示し、段階的に有標度の高い例文を示して指導することが効果的である。教師の間違いは、文法事項の様々な規則に違反することが多い。教師は各文法事項の抱える問題点を知り、例文に責任を持たなければならない。