Improving Elementary School Students' Listening Abilities in English: Based on a Study of English Education in Korea
(小学生児童のリスニング能力を向上させるには:韓国の英語教育の事例から考える)

62期 AII 類 A. T.

Introduction

 日本では、英語教育は外国語活動として小学校にて行われている。外国語活動は2011年から小学校5・6年生を対象に実施され、時間は週に1時間である。しかし、2020年までに英語は正式に教科化され、週に1時間から週に3時間の実施へと変わる。そのため、英語教育は大きく変わることが予想され、小学校段階から4技能も導入されるだろう。したがって、現在4技能を早期から導入し、実際に英語教育が行われている韓国の事例を見ることが日本の英語教育を考えることが有効であろう。そのため、この卒論では、韓国の英語教育の事例から日本の英語教育を考えていく。

Chapter I Elementary School Students' Listening Abilities in Japan

 この章では、日本における英語教育の現状について述べている。外国語活動の実施以前は、総合的な学習の時間で行われることが多かったが、授業時間数・内容などの学校間での格差が問題視され、外国語活動の創設に至った。現行の外国語活動では、「英語音声に子どもたちを慣れ親しませること」が目標の一つとして設定されており、英語の4技能のうち、子どもたちはリスニングに取り組む時間が最も多いことが分かる。
 したがって、外国語活動が子どもたちのリスニング技能にどのような効果があったか、児童英検・シルバーレベルの試験を用いて測定したデータを示した。そのデータによると、平均点が84点であり、外国語活動は子どもたちのリスニング技能に効果があることが分かった。しかし、韓国人児童を対象に同じ試験を実施したところ、平均点が96点であった。この差がどこにあるのか2章で考える。

Chapter II English Education in Korean Elementary Schools with Emphasis on Four Skills

 この章では、小学校段階における英語教育について述べている。韓国の英語教育は小学校3年生から週に1時間で始まり、5・6年生になると週に3時間となる。現在は、担任教師が英語の専科教師になることを推進しており、研修内容の充実がはかられている。特に韓国の英語教育で着目すべき点は、早期から4技能を意識した英語教育である。例えば、アルファベット指導は3年生から、リーディングについては4年生から開始する。文法事項も、6年生段階になると、中学生2年生に相当する内容(比較、感嘆文、未来形など)が含まれる。それぞれの技能を育成するだけでなく、4技能を統合した活動も多く取り入れられ、リスニング能力に影響しているかもしれない。

Chapter III Analysis on Teaching Materials Used in Korea

 この章では、リスニング能力を向上させるための教材について述べている。韓国では、ICTの積極的な利用が推進されているため、デジタルコンテンツを扱ったウェブサービスが多い。その中で、小学校英語教師に多く使われているサイトとして、I-screamが挙げられる。すべての教科書内容に沿ったデジタルコンテンツがあり、英語では豊富なリスニングコンテンツを使うことができる。各章に、9つずつリスニングコンテンツが用意されており、指導案を見ることもできる。英語力に不安のある教師でも、英語教育に携わることができるように設計されている。他に有名なサイトとして、EBSenglishとKidstimesがあり、子どもたちに家庭での英語学習を促す。

Conclusion

 結論として、リスニング能力を向上させるために3つの点を述べる。(1) 子どもたちに英語を聞かせる時間の確保。I-Screamなどの教材を活用して、ネイティブスピーカーによる英語に触れる時間を多く持つことが重要である。(2) 新出表現を何度も聞く機会を持つ。デジタル教科書などの活用が必要であろう。(3) リスニング以外の3技能に早期から取り組むこと。したがって、2020年までに改訂される英語教育では、4技能を早期から意識した英語教育を推進していくことが求められると考える。