Using Songs Effectively to Teach English to Japanese Junior High School Students
(中学校英語教育における英語の歌の効果的利用)

62期 AII 類 T. K.

Introduction

 英語教育において、英語の歌を用いた授業を受けた人は少なくない。私も英語の歌を用いた授業を受けた一人であり、中学時代に受けたその授業は「楽しい」という印象だった。しかしながら、その英語の歌を使った授業では、教師には「何の意図があったのか」、また生徒に「どんな力を生徒に身につけさせたかったのか」が全く見えなかった。ただ「楽しい」だけでは、生徒には本当の英語力は身につかないのではないか。いったい音楽を使う上でどんなことに注意すればいいのか。これらの問題を解決すれば、英語の歌はむしろ英語学習の上での教材として効果を発揮するのではないかと考え、この論文を執筆するに至った。

Chapter I Analyses of the Results of My Questionnaires

 第1章では、中学生98人に行ったアンケートの結果に基づき、今の生徒が英語の歌にどのような関心をもち、そして音楽に何を期待しているかを分析している。また、三重大学教育学部生35人にアンケートを実施した。その結果に基づき、音楽を用いた授業を経験した内容を分析し、教師が英語の歌を授業で活用する上での問題点や課題を挙げた。これらのアンケート結果から判明した問題点や課題に関して、以降の章で述べていく。

Chapter II The Significance of Using English Songs in EFL Class

 第2章では、(1)授業の雰囲気作り(2)語彙や文法の強化 (3)リスニング教材として利用 (4)イントネーションや発音の強化 (5)歌詞の日本語訳といった、英語の歌を用いる上で注意すべき5つの目的設定をしている。というのも、1章でアンケートに答えた三重大生のうち、70%の生徒は「英語の歌を使った授業は楽しかった」と答えたにもかかわらず、その半数以上 が「授業内容を覚えていない」と回答しており、明確な目標設定の必要性が浮かびあがったからである。また、歌の利用によってリスニング、スピーキング、異文化理解の3つの観点から生徒の力を育てることを述べている。加えて、英語の歌がもつ利点及び欠点を数点挙げた。利点には生徒の英語学習に対するストレス緩和や発音矯正の機会が与えられること、欠点にはクラスマネジメント上の問題や学習環境に関しての課題を挙げた。

Chapter III Specific Steps to Utilize English Songs in JHS Class

 第3章では、英語の歌を活用するにあたって、教師が踏むべき手順を具体的に示しています。まず踏むべき最初のステップとして、生徒の音楽的嗜好を調査する目的での事前アンケート実施がある。これを行う主たる理由は、生徒の音楽的趣向を掴み、教師から生徒への一方的な教材の押し付けにならないように配慮するためである。次のステップは、(1)発音 (2)テンポ (3)長さ (4)内容及び文法 (5)特定語句の繰り返し (6)語句や文法のレベルの6つの選曲基準を満たす選曲である。選曲の基準を設けることで、教師が音楽を選ぶ際の具体的な基準があれば、選曲が行いやすく、授業に最も相応しい曲を選択できるためである。そして最後のステップが英語の歌を用いた授業実践である。本卒論では、選曲基準に基づき、'We Wish You a Merry Christmas' を授業実践の例としてとりあげている。

Conclusion

 英語学習にとって英語の歌は非常に効果的であるが、明確な選曲基準や授業目標の設定が求められる。これからの英語教師たちがこの論文を基にし、英語の歌を用いた有意義で効果的な授業を展開できる一助になることを願う。