A Study of Videotelephony in Foreign Language Activities in Elementary School
(小学校の外国語活動におけるテレビ電話の活用)

62期 AI 類 A. O.

 Skype、FaceTime、LINEといったIPテレビ電話が近年急速に普及している。それらは、スマートフォンやパソコンで手軽にかつ安価で高品質なテレビ電話を提供してくれる。一方、小学校を含めた公立学校では、2000年代に入ってからインターネットやICT機器の導入が相次いでいる。そこで、小学校の外国語活動において、テレビ電話を通じて子どもたちが外国の人々とコミュニケーションをとれないか、研究した。

 はじめに、公立小学校にアンケートを取り、5,6学年の児童や教職員がテレビ電話をどのようにとらえているのか調査した。その結果、児童の74%、教職員の94%がテレビ電話の実施に積極的だったため、現場の関心は高いと判断した。次に、児童の回答をもとに、具体的な活動内容を検討した。すると、「外国の子どもたち」と「遊びや趣味」「学校や友だちのこと」「食べ物や着る物など生活のこと」と回答した児童が比較的多く、子どもたちは自らと同年代の子どもを相手に、身の回りの”General talk”(世間話)をすることを望んでいることが分かった。

 一方で、不安や課題も浮かび上がった。教職員のアンケートからは、「学習指導要領に則った活動か」という疑問が読み取れた。テレビ電話は、学習指導要領の外国語活動の目標の「体験的理解」を効果的に生み出すほか、「内容―2. (3) 異なる文化をもつ人々との交流等を体験し、文化等に対する理解を深めること」の実現に於いて大きな役割を果たすことが期待できる。つまり、先ほどのGeneral talkこそが子どもたちにとって本物の文化交流となると私は考えている。アンケートの子どもたちも「1日の過ごし方」、「夢」、「好きな芸能人」、「その人のこと」、「また話そうね!」と自由記述欄に書いている。そうして、さまざまな会話をする中で、自分(たち)と違うところや、また同じところに気づき、驚きや共感を得る。この経験が子どもたちのその後の人生を豊かにする。こちらを”Communication-conscious”(「内容重視型」)と名づけ、小学校での外国語活動や英語のクラスに欠かせないものと捉えている。

 また、IPテレビ電話を授業に取り入れている小学校に授業見学へ行ったときのことである。その授業では、社会科の調べ学習を発表するという形で、連携大学教員などが用意した英語の原稿を読み上げる活動を外国語活動の時間に行っていた。こちらを”Content-conscious”(「内容重視型」)と名づけ、高学年での発展的かつ横断的学習活動での可能性を垣間見た。

 また、本文では教職員の不安や期待の声を頼りに、実現に向けた具体的な方法を検討した。知り合いやALTにコネクションがなくとも、インターネットを通じてパートナーを探すことができることがわかった。また、パートナーには同年代の子どもたちが属する、時差のあまりない国のクラスが好ましい。機器については学校によって状況は異なるものの、操作性や経済性、安定性などの観点からwi-fiを使ってiPadを中心ツールにすることが望ましいと結論した。

 しかし、まだこのような実践は始まったばかりであり、課題も多い。実践者同士の交流と研修、教育委員会などの専門機関の支援が欠かせない。今後の日本の外国語教育、異文化理解教育を切り開くのは私たちである。