Motivation and the New Course of Study
(動機づけと新学習指導要領)

61期 AII 類 J. H.

Introduction

 文部科学省の発表によると、2013年度入学生から、高等学校の英語の授業は新学習指導要領に則って行われる。この新学習指導要領に盛り込まれた大きな改善点としては、「英語の授業は英語で行う」ということであり、その目的としては生徒達にコミュニケーション能力をつけさせるためである。しかしながら、現在の高等学校の授業の形態として、多くの学校で用いられているのが文法訳読法と呼ばれる教授法である。この教授法を用いることで、数々の試験やテストに対応できるように、単語や文法をしっかりと生徒に学習させるのだが、新学習指導要領が施行されたならば、この教授法を用いた学習では、生徒のコミュニケーション能力を養うことは難しい点がいくつもある。では、どのような授業体制を作ることが、新学習指導要領下の動機づけとして有益になるのであるか。来年度から、高等学校の教員になる自分としても研究をすべきであると考えたのが、この卒業論文を書き始めた第一歩である。

Chapter I The Actual Situation of English Education in Senior High School

 この章では、現在の高等学校における、教師と生徒の両面から見た、英語の時間における英語の使用頻度について考え、その理由や原因について考えた。文部科学省のデータによると、1時間の授業内に使用される英語の頻度としては、授業にもよるところがあるが、授業全体の半分以下ということが多いことがわかる。その理由としては、日本語で授業をした方が生徒がわかりやすい、生徒が英語を使用して発表する機会が少ない、センター試験や二次試験に於いてスピーキングの試験を課しているところがあまりないということがあげられるのではないだろうか。もっとも私がめをつけたのは文法訳読法である。いかにして文法訳読法の長所を残しながら、短所を消すことができるかを考えることが、来年度からの高等学校の教員には必要なのではないか。

Chapter II The Analysis of New English Course of Study and Motivation Based on Communication

 では、新学習指導要領下に於いては、どのような内容でどのような目的をもった授業が展開されていくのであろうか。すべての授業に共通して言えることは、コミュニケーション能力の向上が目的として盛り込まれていることである。Reading、Writing、Listeningはコミュニケーション能力を支えるための能力として、各授業内で養われることが目標とされている。また、コミュニケーションを中心とした授業展開の利点や教師側からの注意点をこの章では扱った。生徒にいかにやる気を起こさせ、なくさせないようにするかというポイントは、どの授業に於いても重視されることではあるが、生徒主体となってコミュニケーションを行う授業体制では、具体的に教師はどのように働きかけを行えばよいのか。生徒の欠点をあまり指摘しすぎない、生徒の発言をほめる、教師が生徒の授業モデルになること等、いくつもの注意点が挙げられる。

Chapter III Specific Suggestions for Motivating Students

 Chapter 2において考えた注意点をもとにして、自分なりに1つのActivityと授業モデルを提案した。授業初めに生徒が英語を発する機会を持てるように ‘Thirty Seconds Speech’という活動を盛り込むことを提案し、それを組み込んだ授業案として ‘The Two-Way Translation’という名の授業モデルを参考にして、自分なりに授業案を作成した。この授業案の利点としては、文法訳読法の長所である単語や文法学習に時間を費やすという点を残しつつ、生徒が英語を自ら書き、発音するという、文法訳読法の欠点を補うことができるということである。いかに生徒達に英語を使用させるかという点を中心に考えた授業案であり、新学習指導要領下の授業体制としては、目的に即した授業の展開であるのではないかと私は考える。

Conclusion

 来年度から新学習指導要領下の授業が行われるということで、教師自身の英語力も向上させなければならない中、生徒達のコミュニケーション能力をいかに成長させるかを教師達は考えていかなければならない。英語を話せるようになりたいという生徒達の要望をかなえてあげることが、英語学習の動機づけの一つになるのではないだろうか。そのためにも、試験に合格させてあげるのも教師の役割の一つではあるが、新しい授業展開を考えていくのも教師の仕事である。私は、この卒論を出発点として、すばらしい英語教師になっていきたいと思う。