A Study of Reproducing the Effects of Studying Abroad in EFL Learning in Japan
(日本でのEFL学習における留学効果再生の研究)

61期 AII 類 K. N.

Chapter I Studying Abroad

 この章では、留学そのものについて考察する。はじめに過去の留学と現在の留学について比較する。戦後の留学というものは、先進国である海外に日本の代表者として科学技術や知識を学びに行くというものであった。それ故、試験などで勝ち抜いた選ばれた人にのみ留学の機会が与えられたのである。一方現在の留学は、個人が言語を学習するために海外へ渡るという傾向がある。比較的多くの人に機会が与えられているのも現在の留学の特徴と言えるだろう。次に、留学の効果について考察する。留学の効果は大きく短期効果と期効果の2種類に分けられる。短期効果は、スピーキングやリスニングなどの上達や流暢さなどの一時的な効果である。これらの効果は日本に帰ってきて英語を使う頻度が下がると徐々に衰え始める。一方長期効果は、学習意欲の向上など精神的なものであることが多い。この効果は日本に帰ってきてからの学習などを促進するので副次的な効果を生むものであると言えるであろう。

Chapter II EFL Students with Different Experiences

 この章では、様々なEFL(English as a Foreign Language)学習者を対象に留学についてのアンケート調査を行う。実際の留学の効果や、未経験者の考える留学の効果などが明らかになるであろう。調査結果を基に留学経験者と留学未経験者の比較と留学経験期間の比較を行う。経験者と未経験者の比較を行った結果、未経験者は実際の効果以上にリーディング・スキルや英語学習意欲が向上すると期待していることが明らかになった。また未経験者が期待する以上に、実際の留学では人間としての成長や自文化への認識が促進されることも明らかになった。一方、期間比較では、長く留学を経験している人の方が、スピーキング・スキルが向上すると感じているという結果を得ることができた。

Chapter III Ways to Reproduce the Effects of Studying Abroad in Learning in Japan

 この章では、留学の様々な効果を日本で再生する方法について考察する。提案した方法の中で、最も効果が得られそうである方法は疑似体験である。留学を経験したつもりになることや、同様の経験を行うことには、実際の留学と同様の効果が期待されるであろう。疑似体験は様々な方法で行うことができる。例えば、イングリッシュ・キャンプを開くという白鳥氏(2012)の方法も疑似体験ということができるであろう。ネイティブ・スピーカーやEFL学習者が同じキャンプ内で1〜2週間生活を共にするというものである。このキャンプの中では英語しか話すことができず、共同生活を行う際に英語が必要不可欠な物となるので、留学と同様の状況を生み出すことができ、同様の効果が得られるのである。