Learning a Second Language and the Critical Period Hypothesis
(第二言語学習と臨界期仮説)

60期 AII 類 A. H.

Chapter I What is the Critical Period Hypothesis?

この章では、まず臨界期仮説について調べたことをまとめている。臨界期仮説とは、人間を含む動物が限られた期間である能力や技術を習得することができる、という仮説である。人間の場合はその期間は2,3歳〜思春期までである。そしてこの仮説は、言語を習得するうえでも大きく関わっている、と言われているようだ。そしてChapter 1では、第二言語習得と臨界期仮説の関係を示した過去の研究や実験内容を取り上げている。また、子どもが第一言語を習得する仕組みを調べ、子どもの第一言語の習得は身体が成長する過程の中で言語を自然に習得していくことが分かった。また、動物の臨界期仮説の例として、鳥がさえずりの習得を取り上げている。鳥が自分の種のさえずりを学習することにおいても、ある一定の期間があるようだ。これには子孫を増やすためといった、動物の本能的な性質が関わっていることが分かった。

Chapter II Learning a Second Language and Age Factors

この章では、思春期以前の子どもがなぜ第二言語習得に有利と言われているのかを調べた。その理由を3つあげている。一つ目は、子どもが認知的に物事を考える能力が大人ほど発達していない、ということである。大人は論理的に物事を処理したりする傾向にあるが、子どもたちは認知的な能力が未発達のため、頭で考えることよりも直観的に言語を吸収でき、第二言語をあまり意識することなく自然に第二言語を習得できるのではないかと考えた。二つ目は、子どもはlanguage egoを確立していないということである。Language egoとは、主に母国語の言語において自己の確立とともにできあがっていくものである。子どもは自己がまだ十分に確立されていないため、このlanguage egoを母国語だけでなく他の言語でも柔軟に確立できるようだ。そのため自然に第二言語の学習を抵抗なく始めることができ、効果的にその習得が行われると考えられる。第三に、子どもは第二言語を学ぶ時に、否定的な感情を抱きにくいということである。大人は、母国語以外で表現することに恥ずかしがったり、間違えることを恐れたりする傾向がある。しかし、子どもはそのような感情を抱きにくいので、積極的に学習が進むと考えられる。

Chapter III Effective Ways in Learning a Second Language for Children

この章では、Chapter 2であげた、第二言語を習得する際に子どもが持っている強みを活かした、効果的な指導方法を考察している。まず、子どもが柔軟に自分自身を新しい世界に置くことができるという点から、子どもを第二言語に囲まれた環境に置くという方法が考えられる。イマージョン教育という、授業内容を第二言語で行うというものも紹介している。また、教師の負担の軽減のためにも教室の中の掲示物や黒板の日付や天気の表記を第二言語で表すという方法も考えらえる。そして、子どもが頭よりも体で言語を吸収するという点から、体を動かしながらの指導方法も考察した。子どもが自然に言語に触れることができる同時に、授業が楽しく活動的なものになると思われる。さらには親や教師の姿勢も重要であると考える。子どもの学習に協力的で穏やかに見守ること、愛情を持って褒めてやることは子どもにとっては次の学習へ進むための力となると考えられる。