English Teacher's Functions in Motivating the Students
(生徒の動機付けにおける英語教師の機能)

49期 II 類 T. O.

Chapter I Introduction

なぜこの研究をしようと思ったのか?

英語は学校教育の教科の中で最も力を入れられている教科のひとつなのに、その成果は必ずしも芳しくない。TOEFLの平均点も他国に比べて低く、六年間学習してきたはずなのに実際に使える人は少ない。また大学入試が終わると英語の勉強を止めてしまう人が多い。なぜなのか?その原因は色々あるだろうが、そのひとつに生徒の motivation があげられる。
 英語学習において、学習の成果を左右するものとして"intelligence"、 "motivation"、 "character"の3つがあげられる。その中で教師として変化させやすいのが motivation である。だから教師としてこれを高めることができれば、効果的な学習に導けると感じたからである。

Chapter II Variation of Motivation

まず Motivation について:

ヒトは学習に限らず、何かをしようとするには、その行動を起こそうとする「動機」(motive)、「動因」(drive)などがあってはじめて行動に移るのである。それらを引き起こされる対象は、興味があることや「使える」と思えることや、「楽しい」と思えることなどである。それらが「いやだ」とか「面倒くさい」を上回ったときに行動に移るものと考えられる。しかし、その動機付けのレベルが下がると、当然がでない。
 動機付けの種類をこの後の現場の声を聞くために調べてみる。動機付けといっても心理学的に社会心理学的に分類するのと学習心理学的に分類する方法がある。
 まず社会心理学的に分類するとその活動(学習)が活動者(学習者)の外発的動機付けと内発的動機づけについて。どちらが中学生の英語学習初期の学習意欲の増大や持続に効果があるのか?
 多くの人が経験したことがある「できた(成績がよかった)からやる気がUpした」「あのOO先生は怖かったから、おこられないように勉強したもん」ということはこれに照らし合わせると、外部からの力によって勉強していたに過ぎないことになる。また何となくではあるが、おもしろいとか楽しいと感じられれば自ら進んで学ぼうとする子は内発的に動機づけられて、この感覚を失わないかぎり高い学習成果を示す。従って、教師にとってはいかに生徒を内発的に動機づけるかが重要なのである。

Chapter III Results of Questionnaire

実際の現場での様子:

中学生に英語学習に対する motivation に関するアンケートをとって、その結果から生徒の motivation を高めるにはどのようなことが必要かを考える。中学生の生の声を聞くと、2つの大きな問題点がみえる。まず、彼らの motivation は学習を始めたとき、つまり中一の最初に比べて低下しているのである。学習が進むに従って motivation が低下した生徒が半数近くいたのである。また、やる気が出るのは「テスト前」、なぜ英語を勉強するのかは「定期テストと高校入試のため」という答えが圧倒的に多かった。

Chapter IV How to Motivate Students in English Classes

実際の様子を踏まえての考察:

アンケートの結果から motivation の低下と内発的動機の不足に関して考察をする。また、生徒の motivation をあげるために教師がすべきことを考える。まず動機付けの低下については、新鮮味の低減などとともに、情意フィルター、学習的無力感という学習環境が及ぼす要因が出てきた。情意フィルターとは失敗へのおそれのことであって、活発な学習を阻害する要因となる。それらの要素は精神的な「不安」がこれらを生むので、では教室で教師は何をすべきかを考えた。まず援助的人間関係を築くことである。これにより教師の言葉がより効果的になる。また学習的無力感とは、学習が進むに従って周りが見えてくるために、自分の能力や授業に対し不安や不審を抱いて結果的に motivation が下がってしまうと言うことである。これも教師と生徒の信頼関係が大切になってくる。
そして、最初から動機付けの低い子をいかに動機付けるかを考えた。これと同じ事は motivation が下がってしまっている子にも有効であると考える。まず「英語は楽しいぞ」と教師の価値観をおしつけるのではなく、生徒がなぜそう考えるのかを理解したうえで、外発的動機付けで成功体験などをさせた後に、子供たち自身に英語学習への動機を見つけさせるのである。内発的に動機付けすることができれば、極論を言えば、教師としてすべきことの半分は終わったと言えるのではないかと思う。

Chapter V Conclusion

今後には小学校にも総合的な学習の一環として英語が導入される。ここでの「英語教育」は中学校と内容的にかぶらない、英語に慣れ親しませることに主眼が置かれている。そうすると小学校の英語というものは生徒を中学校での学習に対しての動機付けを高める機会、生徒に英語に対して興味を持ってもらうチャンスととらえることができる。そこで、小学校の教員として英語教育に携わる機会が有れば、この研究で身につけて知識を活かしたい。