Intercultural Education in Elementary Schools:
What Should Be Taught?
(小学校における異文化理解教育 - 何を教えるか?)

49期 II 類 H. K.

Chapter I Introduction

他国とのボーダレス化が進み、国際的な場面がしばしば身近に感じられるようになってきた。2002年から公立の小学校で始まる「総合的な学習の時間」の内容にも国際理解が例示されている。中でも国際理解に関しては外国語会話の扱い方も書かれており、「小学校から英語教育を!」という世の中の動きがあり、英語教育を始める小学校も多いと予想される。しかし、英語を話せるようになったとしても、相手を知ろう、理解しようとする心がなければ、コミュニケーションは成り立たない。まずは他と自分の違いを認めることができる態度を育てていくべきではないだろうか。そのような教育を行うのが異文化理解教育と考え、その可能性とその中で何が教えられるべきかを考えていきたい。

Chapter II A Definition of Intercutural Education

異文化理解教育を定義づけるために、文化の意味を考え、国際理解教育との比較をした。文化には"Culture"と"culture"があり、 "Culture" は日本文化のように誰もが知っている代表的な文化で、"culture"は人々がそれぞれ持っている生活習慣や考え方に基づいた一人一人の個人的な文化である。
 国際理解教育は"Culture"を扱っており、国同士のレベルの文化が中心となっている。一方、異文化理解教育は"Culture"と"culture"の両方を扱っていて、国際的な面と身近な面を並行して行っている。国際理解教育と異文化理解教育の関係を次に示すように考えている。

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異文化理解の定義は、"Culture"と"culture"を経験していく中で、偏見やためらいなしに相違点を受け入れられる態度を学ぶことであると考えられる。

Chapter III A Necessity of Intercultural Education

異文化理解教育の必要性を考えるために、異文化理解教育の中の国際的な面と身近な面に分けて調べた。国際的な面については、三重県内の小学生521人にアンケートを取って子供達の環境と意識を調べ、身近な面については、三重県内の小学校の先生にインタビューをした。アンケートを集計すると、子供達は外国語に触れる機会が多く、また外国に関心を持っているという結果になり、国際的な面からの異文化理解教育は必要であることが分かった。インタビューからは、今の子供達は身近にいる人とのコミュニケーションもできない状況なので、国際的な面だけではなく、身近な関わりにも重点を置くべきだということが分かった。これらより、両方の文化を扱う異文化理解教育が必要だという結論になった。

Chapter IV An Ideal Intercultural Education in Elementary Schools

理想的な異文化理解教育は、国際的な文化と身近な文化の両方により多く接することである。三重県内のある学校を参考にして、異文化理解教育としてこれからできることを考える。参考にした学校では、「総合的な学習の時間」やクラブの時間、教室内や学校内など、子どもたちの生活の中に、異文化に触れる時間、場面、チャンスが工夫して作られている。子供達にとって、学校で目にするもの、耳にするもの全てが学びの対象となるので、特に教室内や学校内の装飾は効果が期待できるのではないだろうか。
 また、異文化理解教育は科目として取り扱われる内容ではなく、教師が教えるというのではなく、子供達が経験を通して学んでいくものなので、教育活動全体の土台として行われるべきである。

Chapter V Conclusion

これから異文化理解教育は必要であり、小学校教育の根本に据えて行われるべきである。教師が教える内容はないけれど、子供達が学ぶ機会をどうやって作り出すかを考えなければいけない。外国の人との交流の機会がなくても、教室の壁を工夫したり、いろんな人と出会う場を作ったりすることはどの学校でもできる。まずはできることから取りかかることが大切である。外ばかりではなく、もっと近くのことにも気を付けていかなければならない。