A Study of C. S. Lewis's The Chronicles of Narnia
(C. S. ルイス『ナルニア国物語』研究)

58期 AII 類 M. T.

Introduction

Chapter 1 善と悪の戦い

『ナルニア国物語』には全7巻を通して善と悪の闘争が大きな流れとして存在する。ここでは特に第2巻の『ライオンと魔女』を取り上げ分析する。善として偉大なライオンであるアスラン、悪として白い魔女が登場し、ナルニア国でのイエス・キリストであるアスランは一人の裏切り者のために死に、そして、復活する。作者はアスランを匂いや形のある温かい存在として描いており、彼の存在や行動はイエスの行いを深く感じさせる。

Chapter 2 二種類の魔法

第1巻である『魔術師のおい』ではアスランと白い魔女がそれぞれ魔法を使う。アスランは創造の魔法としてナルニアを創り、一方で魔女は「滅びのことば」を使い、国や自身の姉を滅ぼす。無からすべてを創り出すアスランの魔法の深さと魔女の愚劣な破壊の魔法とを比較し、分析する。

Chapter 3 C. S. ルイスの楽園論

最終巻である『さいごの戦い』で古いナルニアは滅び、高次のナルニアが現れ、作者はイデア論と結びつけて説明する。ここでは第6巻の『銀のいす』にも言及し、イデア論と想像力とを同様のものとして考え、分析する。白い魔女が確かな存在の有無にこだわるのに対し、登場人物の一人である泥足にがえもんは想像の世界こそ素晴らしいという考えである。イデアは観念の中にしか存在せず、想像の世界もまた然りである。それらは実体がないという点では劣るもののそれらが持つ力は莫大であり、実際の世界を飲み込むほどである。

Conclusion