A Study of Joyce's Dubliners: Paralysis in Dubliners
(ジョイス『ダブリンの人々』研究 ―『ダブリンの人々』における麻痺― )

55期 AII 類 T. H.

Introduction

Chapter 1 文体分析

本章では、本作品に見られる主な技法について論じている。ここで挙げられている技法は、抽出話法、象徴主義、細部にいたる描写、対比の四つである。Dublinersはリアリスティックな作品である。それにもかかわらず、ジョイスはこの作品の中に象徴主義的要素を取り入れ、象徴的現実主義という新しい手法を確立させている。なぜ、その手法を取るに至ったかを各々の技法を分析しながら、考察していく。

Chapter 2 『ダブリンの人々』分析

ジョイスは作品中のキャラクターにダブリンという街に生きる一般的な市民を適用している。その為、本作品にはその街の雰囲気、様子、実態などが鮮明に描かれている。偉人や有名人などを使わず、小市民を扱った理由やそこから見えてくるダブリンの真の姿などを、登場人物の分析などにより、明らかにしていく。

Chapter 3 『ダブリンの人々』における主題分析

ジョイスはDublinersという作品の中で、ダブリンに蔓延る「麻痺」を描き出そうとしている。敷衍して言えば、ダブリンに暮らす人々の精神に蔓延る「麻痺」を描写しようとしているのである。その「麻痺」とはどのようなものか、また、それが人々にどのような影響を与えているのかを、「逃避」、「啓示の瞬間」、「逃避の失敗」という4つの観点から考察する。

Conclusion