A Study of the To-infinitive and the Gerund
(To-不定詞と動名詞の研究)

61期 AII 類 T. Y.

Introduction

 伝統的な学校文法による複雑な用法が多いからであろうか、不定詞や動名詞を苦手とする生徒が多いと感じる。また、私自身についても子どもたちに不定詞や動名詞をどのように教授すればよいか再考するよい機会だと思い、この項目を研究テーマとして取り上げる。不定詞や動名詞についての研究が書かれている著書や多くの生徒が使用しているさまざまな参考書を見比べ、問題点を探り出し、それらを新しい視点から考え直そうと思う。

Chapter I Study of the To-infinitive

 第1章ではto-不定詞について取り上げた。to-不定詞は前置詞"to"+名詞の構文(「方向」や「未来」を意味する)に由来している。その名残であろう、現代の英文法においてto-不定詞は未来指向 “future-orientedness”の動詞や形容詞と結びつくことが多い。確かに、多くの参考書でも「to-不定詞はよく未来の出来事を意味する」と記載されている。しかしながら、この章で強調しておきたいこととしては、to-不定詞自体が未来を表しているのではなく、不定詞に結びついている形容詞や動詞などの用言が未来指向を表すことがあり、それらとto-不定詞が結びついていることが多いのである。to-不定詞自身は時間に関してニュートラルなのである。「to-不定詞が未来を表す」ということは、「傾向」までに捉えさせる必要がある。

Chapter II Study of the Gerund

 第2章では、動名詞を取り扱った。動名詞はもともと名詞であったことを強調しておきたい。参考書には「動名詞はしばしば過去の出来事を表す」と記載されている。しかしながら、動名詞が過去指向を表す動詞や形容詞などの用言と共起されることが多いだけであって、「動名詞自体が過去を表す」ということは否定せざるを得ない。なぜならば、動名詞はもともと名詞であるからだ。名詞は時間に支配されることはないからである。したがって、動名詞を含む文が過去を表すことがある場合があるということは事実だが、それはあくまで「傾向」に過ぎない。

Chapter III How to Teach the To-infinitive and the Gerund Effectively

 第1章、2章で結論づけたことを踏まえて実際、子供たちに不定詞や動名詞を教授する場合どのように導入して行けばようであろうか。まず不定詞や動名詞を導入するとき、不定詞を含む文は未来を表すことが多く、動名詞を含む文は過去を表す文が多い傾向にあるということを歴史的観点から導入しながら、いくつか例文を出していく。その後、さらにto-不定詞を含む例文を出し、不定詞が必ずしも未来を表すものではないということに気づかせることが大切である。この時that節などの構文を使って書き換えさせたりすることも大切ではないかと思う。そのようにすることによって、「to-不定詞は未来を表す」「動名詞は過去を表す」という観念を脱構築させていく必要がある。