The Difference of Polite Expressions in English and Japanese
(英語と日本語における丁寧表現の違い)

58期 AII 類 H. K.

Introduction

日本人の中には、「英語には敬語がない」という考えをもっている人もいる。英語には日本語の敬語ほど複雑で組織的な言語組織はないが、英語は敬意の考えや気持ちを表す言葉をもっており、その表し方やシステムが豊富に存在する。敬語のように単語のみで理解されるのではなく、フレーズやセンテンスの形で表される。この論文では、英語においてどのように丁寧な表現は現れるのかと英語と日本語における敬意表現との違いは何かということを実例とともに明らかにする。

Chapter I Polite Expressions

この章では、OALDODELDCEにおけるPolitenessの定義を確認し、P.ブラウンやレヴィンソンの定義する'Positive Politeness'、'Negative Politeness'という概念を紹介し、Polite Expressionsとは何かを考える。また、日本語における敬語のシステムを尊敬語、謙譲語、丁寧語に分けて考える。

Chapter II Analysis of Examples

この章では、映画『風と共に去りぬ』、小説The British Museum Is Falling DownSnow Falling on Cedarsからの一説を引用し、会話の中で実際にどのように丁寧な表現が使われるのかを検証する。例文をいくつか挙げ、どのような丁寧表現が使われているのかを分析する。

Chapter III What Makes Expressions Polite?

Chapter2で挙げた例文を4つのカテゴリーに分け、どのように丁寧な表現になっているのかを分析する。言葉を丁寧な表現にする原理は、婉曲表現、仮定法の使用、間接的な表現など様々な要因によって構成される。

Conclusion

ここでは論文の総括をする。敬語のように「行く」と「いらっしゃる」、「参る」と変化させるのに対して、英語の敬意表現では丁寧さを表す ‘could’ や‘would’などの表現を加えることによって、より敬意を表す表現へと変化させる。敬意的表現というものは、話者同士の人間関係、会話の流れなどによっては、丁寧なものにも丁寧でないものにもなりうるということも比較の中で指摘される。英語も相手に対する敬意を表す何らかの表現があり、敬意を表す方法がある言語である。丁寧表現を使う根本的な理由は日本語でも英語でも、相手に不快な思いをさせないように配慮することである。