The Linguistic Characteristics in I Am Sam
(映画 I Am Sam における言語的特徴)

58期 AI 類 R. O.

Introduction

この論文では、映画 I Am Sam の登場人物であるSam、Rita、Lucyの用いる言語に焦点を当て、その文法やシンタックス、語彙の種類と数、音節を調べることによって3人がそれぞれ持つ言語的な特徴を明らかにし、その言語にみられる特徴と彼らの性質、彼らが周りに与える印象との関連について考察する。

Chapter I Sam's Simplicity in His Speech

この章では、7歳の子どもと同等の知的能力を持つ主人公Samの単純で簡潔な話し言葉の構造を分析する。彼の用いる少なめである語彙のうち動詞・形容詞については、裁判に関するものである、日常生活に密着している、などと意味によって分類を行い、その具体性について考える。困惑したときは大好きなビートルズの話を一気に話しだす、といったSamが持っている発話の面での特徴も明らかにしていく。言語の特徴と性質の関連を考察するにあたり、Samに関しては人を惹きつける力がある、という彼の性質との関わりに特に注目する。

Chapter II Rita Uses Language as a Weapon

この章では、弁護士という職業柄、攻撃的に言葉を用いるRitaの話し言葉をSamの場合と比較しながら分析していく。Samと知り合った当初のRitaは、Samとまともに話をせず、専門的な言葉を用いて彼を遠ざけようとしているようであったが、Ritaのその態度は次第に変化していく。ここでは、命令文を使う機会が次第に少なくなるといったRitaの言語的な特徴の変化から彼女の心情の変化を考察する。Ritaの用いる語彙については、抽象的なものや、下品な単語が多いというSamとは異なる特徴に注目する。

Chapter III Lucy Speaks with a Certain Statement

この章では、Samの娘であるLucyが言葉を用いる際、知的に障害のあるSamへ配慮をしている様子がうかがえる特徴的な場面を取り上げ考察する。Lucyの用いる単語の種類を調べてみると、Samの単語と同じであるものがほとんどであり、LucyはSamが理解しやすいように言葉を選びながらSamとの会話をすすめていると考えられる。

Conclusion

この論文の中で、登場人物の用いる言葉の特徴を分析し、その特徴と登場人物の性格や印象との関連について考察したことで、映画の中で用いられる言葉が登場人物の性質を効果的に示している事を知り、言葉に注目することが映画のより深い理解、楽しみにつながることを学んだ。私は今まで映画を観るときは、字幕や吹き替えに頼りきっていたが、これを機に登場人物の話す英語に注目するようにし、登場人物によって行われる言葉の選択のちょっとした違いをも楽しめるようになりたいと思う。