Communicative Devices in Tourist Brochures
(観光パンフレットにおける伝達上の工夫)

55期 AII 類 A. F.

Introduction

私たちが旅行に行くとき、行きたい場所の情報を探す手段の一つに観光パンフレットがある。パンフレットを読んだことをきっかけに、私たちはその場所を訪ねたいと思うようになるときがある。その要因としては、パンフレットには読み手の興味を引くために、書き手の工夫が凝らされているからだと考えられる。ここでは、パンフレットの見出し、本文、視覚面について章を立て、書き手と読み手のコミュニケーションの手段としての観光パンフレットにおける工夫を考えていく。

Chapter I Effects of Headlines

私たちが観光パンフレットの記事を読むとき、最初に目を向けるのは見出しであろう。見出しが読み手の興味を引くものであれば、読み手はその後に続く本文も読みたいという気持ちになる。見出しにおける書き手の工夫として、(1)語と意味、(2)音、(3)所有格を取り上げる。読み手に見出しを理解する上で疑問を抱かせる、韻や同じ音の繰り返し、書き手と読み手の間に親しさを感じさせる表現などを用いて、読み手の注意を引こうとする工夫が見られる。

Chapter II Effective Expressions in Texts

観光パンフレットにおける本文には、読み手に魅力的な場所であることを納得させる、見出しだけではその場所を理解するのに不十分な情報を補うために説明するという2つの役割があるように思える。説明するためには、本文は長くなりがちであり、読み手の興味を失う危険性がある。そこで、この章では、長い文章でも読み手の興味を引き続けるため、また魅力的な場所であることを納得させるために、(1)最上級の表現、(2)否定の表現、(3)'must'の使用、(4)表現を記憶に残させるという4つの工夫について考えていく。

Chapter III Visual Aspects of Tourist Brochures

写真と言葉から成る観光パンフレットがあれば、まず読み手が目にするのは写真の方であろう。このように、視覚面は観光パンフレットには切り離せないほど重要な役目がある。この論文では、視覚面とは、写真や絵だけを指すのではなく、記号として扱われている語や色など言語における工夫も指す。そこで、この章では観光パンフレットの視覚面として(1)言語、(2)絵、(3)言語と絵に分ける。観光パンフレットの記事が読み手の注意を引き、また情報を読み手に与えるために、言語、絵における工夫、また言語と絵の相互の関わりによって工夫されていることを見ていく。

Conclusion

1章と3章で取り上げた見出しと視覚面は両者とも、読み手の興味を引くという点で、共通の役割を担っている。2章で取り上げた本文では読み手の興味を引き続けるための工夫が見られる。これら3つがそれぞれの役割を果たし、私たち読み手に、その場所への興味を起こさせている。このように、観光パンフレットには書き手である地元の人々と読み手である私たちとをつなぐため、様々な工夫がされている。