Referential Relations in English
(英語における指示関係)

55期 AII 類 A. K.

Introduction

我々人間は言葉によって世界中に存在するありとあらゆる物や人物、実体のない事柄や出来事を指示し、そうすることで他者とのコミュニケーションを図っている。しかし、ただ一言で指示と言っても、指示される物や指示に使われる表現など、指示の仕方は様々である。なぜなら、指示するのは言葉ではなく、その言葉を使う話者や書き手だからである。このことを念頭に置き、この論文では、様々な指示表現の例を挙げ、それらの指示関係を考察していく。

Chapter I Deictic Expressions

第一章では、指示表現の中の直示表現について考察する。直示表現は、直接対象物を指示するので、先行詞を持たないのが特徴である。直示表現が何を指しているかを理解するには、話者や聞き手が誰であるか、また、その発話が成された場所や時間、その場にある物やその場にいる人物など、話者の置かれる状況や場面を知る必要がある。

Chapter II Pronouns

第二章では、代表的な指示表現である代名詞について考察する。まず、代名詞に関する諸問題を取り上げ、代名詞の持つ曖昧さについて述べる。さらに、先行詞がテクストや会話の中にあるか否かで、代名詞の指示表現を内部照応と外部照応の二つに分類する。これらの先行詞を持つ指示表現が何を指しているかを理解するには、テクストや会話の前後関係や、話者の意図、常識などから判断しなくてはならない。

Chapter III Use of Nouns or Noun Phrases and Pronouns - Pragmatically Speaking

第三章では、指示関係を語用論の視点で考察していく。まず、代名詞と同じ働きをするののしり語があり、これらは先行詞を指示するとともに、その先行詞に対する話者の感情も表わしている。また、日常において、文法規則に適わない代名詞の使い方をすることがあるが、それらは話者が文法ではなく意味を考えて言葉を選んでいるということを示している。

Conclusion

日常で使われている様々な指示表現を見てみると、指示関係を理解するためにはいくつかの視点が必要であり、学校で教わる文法は絶対ではない。しかし、指示する対象に合った指示表現を選ぶのは話者や書き手であるので、彼らの意図をつかむことが最も重要だと言える。