On English Proverbs
(英語ことわざの研究)

53期 A1 類 T. U.

Introduction

数多くある英語ことわざはどれもユニークで面白く、魅力的な言語形態である。ことわざにはどのような修辞学的技巧がなされているのか、また、ことわざはどのようにして人々の間で広まっていったのかを、音、構造、比喩、起源の視点から見ていくことにする。

Chapter 1 Sounds

多くの英語ことわざには音韻的な特徴がある。例えば "Praise without profit puts little in the pot." では、[p]の音の繰り返しがあり、頭韻が用いられている。このほかにも、脚韻や子音・母音の一致など様々な音の工夫が見られ、それらによってことわざがリズミカルになり、人々にとって覚えやすく親しみやすいものになっているのである。

Chapter 2 Structures

英語ことわざは通常の文法ルールを逸脱しているもの少なくない。この章ではことわざの構造に目を向け、特に省略、反復、対照という三つの技巧を取り上げる。例えば "Best is cheapest."ということわざでは、本来必要なはずの冠詞theを省略することによって、フレーズをより簡潔なものしている。また "Boys will be boys." ではboysという語を繰り返すことで、その印象を強めている。 "Speech is silver, silence is golden."のような対照法を用いたことわざはバランスのよい形をしており覚えやすく、視覚的にも、意味的にも強い印象を与える。

Chapter 3 Tropes

英語ことわざのほとんどは比喩表現を用いている。例えば "The early bird catches the worm."ということわざは、決して虫をとる鳥のことだけを描写しているわけではない。「何事も早く取り掛かる人は得をする」ことを表しているのである。この章ではこのようなことわざにおける比喩的用法(隠喩、擬人法、逆説、誇張法)を扱う。教訓や一般的真理を間接的に表すことで私たちは意味を転移する必要があり、そこに比喩の魅力がある。また、日常の出来事にたとえたり、インパクトのある言葉で表現することで、伝えたい教訓や真理をより印象的にしているのである。

Chapter 4 The Sources of Proverbs

この章ではことわざの起源や成立過程について論じる。ことわざの中で、聖書や文学、特にシェークスピアの作品にその起源があるものも少なくない。印象的なフレーズが文献から引用され人々の間で長く使われるうちに、文学とは切り離され、引用句としての性格がうすくなり、ことわざとして定着していったのだろう。しかしながら、大半のことわざはその起源は不明であり、日常生活の中の教訓や助言がだんだんと形を変え研ぎ澄まされ、ことわざになっていったと考えられる。つまり、大部分のことわざは庶民が生み出したものなのである。ことわざは文化的、社会的な言語と言えるだろう。

Conclusion

英語ことわざにはたくさんの魅力的な言語の要素がつまっている。これらはわたしたちの言語活動を豊かなものしてくれるのである。