A Study of Everyday Metaphors in English and Japanese
(英語と日本語における日常の比喩についての研究)

50期 II 類 K. H.

Chapter 1 Introduction

比喩と聞くと、文学作品等における技巧で私には難しくてとても理解なんてできないと思っていた。しかし、George Lakoff と Mark Johnson によって1980年に書かれた Metaphors We Live By という本に出会って、比喩なんて知らなくても生きていけるさと思っていた考えが揺らいだ。その本には、比喩は、言語活動だけでなく思考や行動にまで、私たちの日常生活のあらゆるところに浸透している。私たちが考えたり行動したりするときに基づく概念体系は根本的に比喩によって成り立っている、と書いてあった。本当にそうなのか調べる為、実際の言語活動を調べてみようと考え、UP-DOWN、IN-OUT、ON-OFFを取り上げる。また日本語の言語活動も同様に調べて、英語と日本語で、考え方に違いがあるのかまたは同じなのかを比較する。

Chapter 2 UP-DOWN

up-downの文字通りの意味は、"He jumped up from his chair." や "She jumped down off the chair." の up-down のように、下から上への動きや上という位置−上から下への動きや下という位置である。しかし、"Business is looking up."や"Most stocks went down."のup-downは、文字通りの意味から広がりを持った、GOOD IS UP - BAD IS DOWN という概念体系からきている。人は良いもの(GOOD)を上(UP)、悪いもの(BAD)を下(DOWN)と考える。品が良いことを上品、品が悪いことを下品というのももともとはこの考えがあるからである。このように文字通りのup-downからGOOD IS UP - BAD IS DOWN などの以下のような概念ができてくる。

MORE IS UP. LESS IS DOWN.
APPROACH IS UP. AWAY FROM IS DOWN.
MORETHAM TWOTHINGS APPROACH EACH IS UP.
FULL IS UP. EMPTY IS DOWN.
HAPPY IS UP. SAD IS DOWN.
HEALTH AND LIFE ARE UP. SICKNESS AND DEATH ARE DOWN.
CONSCIOUS IS UP. UNCONSCIOUS IS DOWN.
POWERFULL IS UP. POWERLESS IS DOWN.

以上の概念は私が調べたところでは、日本語でも同じ概念がある。

Chapter 3 IN-OUT

in-outの文字通りの意味は、"The kids were playing in the street." や "He's out playing tennis."の in-outのように内という位置や外から内への動き−外という位置や内から外への動きである。しかし、"Shorts skirts are in again.やMiniskirts have gone out."のin-outは文字通りの意味から広がりを持ったFASHIONABLE IS IN - UNFASHIONABLE IS OUT という概念体系からきている。例えば自分の周りに境界線を引いたとすると、線の内側(IN)を良いこと、線の外側(OUT)を悪いことと考える傾向がある。そのため、上のような考えが出てくる。他にも文字通りのin-outから以下のような概念ができてくる。

INVISIBLE IS IN. VISIBLE IS OUT.
PRODUCTION IS OUT.
ACCEPTABLE IS IN. UNACCEPTABLE IS OUT.
FRIENDLY IS IN. UNFRIENDLY IS OUT.
INVOLVED IS IN. ESCAPE IS OUT.
THE REDUCTION OF THE RANGE IS IN. THE INCREASE OF THE RANGE IS OUT.
EXHAUSTED IS OUT.
UNCONSCIOUS IS OUT.

私が調べたところでは、up-downに比べると以上の概念は日本語の概念と一致しないところもあるが大体同じである。

Chapter 4 ON-OFF

on-offの文字通りの意味は、"Put it down on the desk." や "She got in her car and drove off."の on-offのように接している位置−離れている位置である。しかし、"The TV was on." や "The TV is off."のon-offは文字通りの意味から広がりを持ったACTIVITY IS ON - INACTIVITY IS OUT という概念体系からきている。接触している状態(ON)から活動中(ACTIVITY)、離れている状態から休止中(INACTIVITY)という考えが出てくる。スイッチを思い浮かべたらこの考えが分かるだろう。他にも文字通りのon-offから以下のような概念ができてくる。

FINISH IS OFF.
DEPENDENCE IS ON. INDEPENDENCE IS OFF.
BY MEANS OF IS ON.
COMPANION IS ON. INCOMPANION IS OFF.
POSSESSION IS ON.
TAKE AWAY IS OFF.
UNACCEPTABLE IS OFF.
HIT THE MARK IS ON.
START IS OFF.

私が調べたところでは、以上の概念はup-down, in-outに比べると日本語の概念と一致しないところが多い。

Chapter 5 Conclusion

二章、三章、四章から、英語でも日本語でも、私たちは大いに、比喩を使って生活していることがわかった。