"Fog" by Carl Sandburg / カール・サンドバーグの『霧』
この詩では、どこからとも知れず音もなく降りてきて、港や町をすっぽりと包みこみ、いつの間にかいすわってしまう、そしてまた静かに流れていく霧の動きが柔らかい足でそっと歩く猫の動きに喩えられています。絶えず形を変えてじわじわと動く霧がまるで一つの命を持った生き物のようにとらえられています。この詩はいわゆる20世紀初頭のイマジズムの流れに属するものですが、この比喩には優れた比喩がもっている「自然であること」「新奇であること」「直裁でわかりやすこと」などの特質が十分にあります。そのイマージュを味わうことがこうしたイマジズムの詩のすべてだと言ってもいいでしょう。
*Carl Sandburg (1878-1967) :アメリカの詩人。free verseで有名で、代表作に『シカゴ詩集』(Chicago Poems)などがある。