●研究テーマ
「家事や農業などの手仕事を中心とした仕事や暮らしを続けるなかで、人間が成長
し成熟してゆくことの可能性」について、研究しています。この可能性があってこそ、
生活設計や生涯学習も成り立つと思うからです。この研究は、経済学が前提してい
る人間像を緩め豊かにする作業でもあります。
具体的には、たとえば以下のものをご参照ください。
@乘本著『システムと姿勢のライフ論』(同文舘出版)
A長嶋・乘本編『家政知を考える』(昭和堂)
B乘本「施設園芸を支える仕事観」(祖田・大原・加古編『持続的農村の形成』、富民協会)
●研究室の活動
研究室に入ってきた学生(3年生後期〜大学院)は、生活や人生について感受性
と想像力豊かに、そして論理的一貫性をもって、考え表現することをめざします。
テーマは、これまでのところ、学生一人ひとりが自由に決めています。「自由に」
というと聞こえがよいのですが、多くの学生は泣くほどに苦しみます。
最近のテーマについて、いくつか例を挙げておきます。
@商店街がにぎわう条件について(消費生活科学コース卒論)
A家事労働の経済評価の意義と方法について(家政教育コース卒論)
B家庭科教育における経済教育の課題に関する研究(修士論文)
C家庭科教育における「ものづくり」の意義に関する研究(修士論文)
●2つのコースについて
研究室に家政教育コースと消費生活科学コースという2つのコースの学生が入っ
てくることに触れていますが、専門的な授業科目をめぐる両コースの関係は、図の
ようです。
@生活に関して両コースの学生が共通に履修する授業科目が多いのですが、
それは、生活と教育をトータルに考える力を養ううえでどうしてもこれだけは
必要と考えられるからです。
A家政教育コースの学生には、「教職に関する授業」の成果と「家政教育コース
独自の授業」「生活に関して共通に学ぶ授業」の成果を織り合わせていって
ほしいと願っています。
B消費生活科学コースの学生には、「生涯教育に関する授業」「消費生活科学
コース独自の授業」の成果のなかに「生活に関して共通に学ぶ授業」の成果
を生かし位置付けてほしいと願っています。
なお、生涯学習、生涯教育、消費を正視する分野は新しい研究・教育の領域
ですので、積極的な学習を期待しています。