感性哲学部会とは




 感性は伝統的な理解によると、外界からの感覚情報を受容し、経験を伴う刺激に反応するものと考えられてきました。また、感受性や情意、欲求、感情、情緒などを含む心の能力と捉えられることで、知性から区別されてきました。


 しかし、日本の文化的伝統に立脚して考えると、たとえば紫式部のいう「あはれ」や九鬼周三のいう「いき」が示すように、感性は心に深く感じる能力であるとともに「するどい感性」や「豊かな感性」など、たんに受動的なものではなく、むしろ創造性をもった能動的な能力であると考えることができます。「感性工学」の英語名が「Kansei Engineering」とされたのもこのような理由によるものです。そこで、感性を「環境の変化を感知して、それに対応し、自己のあり方を創造する、価値にかかわる能力」と捉えることもできるでしょう。


 感性工学は、「社会科学、人文科学、自然科学、工学並びに技能等人間のなせる業を融合し、人類の幸福のための方法」を求めることを目標としていますが、感性哲学部会では、上のような感性の理解から、「感性哲学」を

「衣・食・住から環境・生命・情報にいたる感性のかかわる領域での、人間と社会のヴィジョンをつくるコンセプト・ワーク」

と位置づけております。


 感性哲学は、「感性工学の哲学」の建設を担おうとするものです。しかし、それと同時に、哲学そのもののあり方をこれまでの考え方にとらわれることなく問い進めることによって、従来のアカデミズムにない新鮮な学問のあり方をめざしていこうとも考えております。そのためにも、大学、行政、企業など多方面の柔軟な交流を活力源としていきたいと考えております(実際、行政、企業関係に方々にも参加頂いております)。また、その研究成果は、日本感性工学会の論文誌および雑誌『感性哲学』その他で社会に発信したいと思います。


 感性哲学部会は、日本感性工学会において研究発表を行うとともに、独自の研究発表の機会、雑誌 『感性哲学』 (東信堂)の刊行を行っています。





Top