日本原子力発電株式会社東海第二発電所

JAEA核燃料サイクル研究所

見学会報告

 

三重大学教育学部技術・ものづくり教育講座電気工学研究室

松岡 守

 

 原子力発電環境整備機構(NUMO)支援を受けて,2024年1月5日に日本原子力発電株式会社東海第二発電所の乾式キャスク貯蔵施設及びJAEA核燃料サイクル研究所の地層処分基盤研究施設(ENTRY)と地層処分放射化学研究施設(QUALITY)の見学に行ってきました。以下その概要報告です。

 

【スケジュール】

2023年

 12月11日(月)18時〜19時半 事前勉強会

2024年

 1月4日(木)移動日

 1月5日(火)午前:キャスク貯蔵施設,午後ENTRYQUALITY見学

 

【参加者】

8名(教育学部2年生3名,3年生2名,4年生2名,教員1名)

 

【事前勉強会】

 NUMO広報部の小川彩氏に三重大学までお越し頂き「高レベル放射性廃棄物の地層処分について」と題してご講演いただきました。勉強会に参加した学生は六ヶ所村や幌延に行ったことがある学生が含まれ,また行ったことがない学生も授業で放射線に関する測定の出前授業,エネルギー問題に関するディベートを行ったことがあり,原子力,そして地層処分について一定の理解があります。さらに講師の小川氏は以前にもお話を聞く機会があり,打ち解けた感じでQ&Aは一部で,様々な意見交換がざっくばらんに行われました。

 

【見学会】

 学校現場ではエネルギー問題を取り扱う機会がありますが,そこで上滑りな議論で留まってほしくない。そのためには教員を目指す学生に原子力を含め一定以上の理解を,ということでこうした機会を利用させていただいています。原子力関連施設と言うと一般には分厚いコンクリートに囲まれた物々しい施設というイメージが強いかと思うのですが,乾式キャスク貯蔵施設は自然換気の普通の倉庫のようであり,キャスクに触れても大丈夫で生暖かいだけ,ということに学生は逆の意味で驚いたようです。

 JAEA核燃料サイクル研究所,こちらは私自身がガラス固化体についていくつか聞きたかったので事前に質問を送らせていただいたところ,当日丁寧に教えていただき,理解が進みました。古代の色ガラスの色が抜けていないからガラス固化体に混ぜた高レベル放射性廃棄物も同じようにガラス内に留まるから大丈夫という説明がされます。大まかにはまぁそうなんでしょうが,全く同じというわけでもないでしょう,というのが疑問でした。混ぜるものが発熱しますから当初中心部分は熱く,徐々に冷えていきます。そうすると熱応力で割れが生じるはずです。それがどの程度か知りたいというのが主なものでした。当然ながらこの辺も調べられていて確かに割れるもののそれほどでもないということでした。他にも様々な研究がされていることを知りました。

 既存の原子力に関する研究,特に安全性に関する研究に対しては「研究することがまだあるということはまだまだ確立していない技術ということでしょう」とおっしゃる方がいますが,それは違うと思います。原子力に限らず,車,飛行機の安全性に対する研究にゴールはありません。より良いもの,より安全なシステムを目指してたゆまず研究は続けられるものだと思います。そうした研究を応援したいとあらためて思いました。

 

 以下は見学時の写真です。