天文学研究室について


三重県の県庁所在地である津市の北東、夏場は海水浴場にもなる町屋海岸に面した一角に 三重大学はあります。正門を入って直ぐに見える、屋上に天体観測ドームが見える建物が、 本研究室のある教育学部棟です。 三重大学教育学部天文学教室は、教育学部が学芸学部と呼ばれていた時代から続く歴史ある研究室で、 現担当(伊藤)が三代目となります。

さて、最近は夜空も明るくなり、街では僅かな星しか見えなくなりましたが、 星空を見上げ、その美しさに感動した経験をした人は少なくないことでしょう。 天体の美しさに感動することは、宇宙に興味を抱く第一歩ですから、 出来るだけ多くの夜空を見上げる機会を提供できるよう努めていきたいと思います。 本研究室には、前任の為永先生のご尽力で、観望に最適な多くの小型望遠鏡があります。 また、15cm,45cmといった大きめの望遠鏡もありますので、 観望だけでなく、実習・研究にも自由に使えるよう、現在整備を行っているところです。 望遠鏡を使って見たい方は、学部を問いませんので、遠慮なく申し出て下さい。

ところで、「天文は社会の役にたっているのか」という声を聞くこともあります。 このような声は、天文学は、夜な夜な望遠鏡を覗いて、きれいな天体を眺めるだけの学問というイメージからくるもの かもしれません。 しかし、生活に不可欠な暦の作成が天体の運行に基づいていること、 地球上の多様な現象の原因である太陽エネルギーの発生機構を突き止めたこと、 我々の体を構成する原子の起源を明らかにしたことなど、 ちょっと考えただけでも天文学が社会に貢献していることがわかります。 何よりも、「我々はどの様な世界に住んでいるのか」という、ギリシャ時代から続く根源的な問いに 挑んでいるのが天文学といえるでしょう。

また、天文学は総合科学です。 天体は非常に遠方にあり、その変化のタイムスケールも人間の一生に比べてとてつもなく長いものです。 我々は、天体で起きる様々な現象の「断片的」な面を「見るだけ」しかできないのです。 このように限られた情報から、物理学、化学、地質学、生物学といった様々な分野の知識を総動員して、 現象を解き明かしていく作業は、限られた証拠から犯人を探し出す推理小説に似ているようにも感じます。 ホームズのような優秀な探偵が、幅広い知識を持っている様に、天文学では、手助けとなる 物理・化学・数学といった知識が不可欠になります。

なんだか、大変そうだなぁと思っている人もいるでしょう。 しかし、望遠鏡を覗けば、目の前に、人間の力では決して作り出すことが出来ない、自然の姿が 広がっているわけです。 「きれい」「すごい」と一言ですますのはもったいないと思いませんか。 確かに勉強は大変です。 でもその先には、「きれい!」とはまた違った感動がきっとあります。 それが、どんなものか知りたい人は、一度研究室のドアをノックしてみて下さい。


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